「本線」という名の元に⑪ 留萌
2017-11-05

全くレールとは関係ない話であるが、皆様「SHOW-YA」というバンドをご存知であろうか?日本におけるガールズバンドの魁(さきがけ)として1980年代後半から、特に1990年代に活躍したハードロックバンドである。同じ時期に「プリンセス プリンセス」もデビューして、特に1990年代に入り「ダイヤモンド」「世界で一番暑い夏」などのヒットによりその名を全国に知らしめたのは周知の通りであろう。だがSHOW-YAに関しては、正直言ってプリプリよりもテクニック的なものは遥かにあると個人的に思っているが、ハッキリ言って商業的に成功したとは言えない部分が多い。
やがてボーカルの寺田が抜けて、別のボーカルにより活動を続けるが、活躍する場面もあまりないまま消滅してしまった。だが、2005年にボーカルの寺田の呼びかけによりオリジナルメンバーで復活し現在に至っている。

大都会!(クリスタルキングではない。いや、石原プロのドラマでもない)これが本線の名を冠してる街の風景。石狩沼田より更に都会的な風景になる。
正直、私的にSHOW-YAに関しては最近まで全く興味がなかった。だが、ある時たまたまYOUTUBEで見かけたSHOW-YAが実に素晴らしく素敵に映った!ハッキリ言って私的にはレボリューション的な出来事であった。それは彼女達がカバー曲を演奏している映像であった。「黒く塗りつぶせ」「勝手にしやがれ」など往年の名曲の他、「HOW EVER」や、なんと「MORE」までやってしまっている!「MORE」は、一般的には余りにもマニアックすぎて伝わらないかも知れないが、ハードロック・ヘヴィーメタルなどに興味のある方は実に定番的な曲であろう、事実、私の高校時代はこうしたヘヴィーメタルをコピーする同級生のバンドばかりであった。



まずは駅舎から。ものすごく立派な造りで圧倒されてしまう。国鉄時代からほぼ変化はない。テナントであろうラジオ局の姿も。
これは私個人の印象であるが、オリジナル曲ではSHOW-YAの魅力にピンとこなかったが、カバー曲を演奏する彼女たちを観て、ものすごくストレートに彼女たちの魅力がハッキリとダイレクトに伝わってきた!寺田恵子、めちゃめちゃカッコイイ!san-goさんのギターもサイコー!みたいな。
調べてみたら、彼女たちはデビューしてから既に30年以上経過しているとの事。そうだよなぁ、私が高校くらいの時からだから・・・と考えると実に素晴らしい。そしてその魅力は今だから出せる。と言うか、既に50歳オーバーにしてあのパワフルな寺田のボーカルは50歳オーバーだからこそ出せる味。昔のSHOW-YAでは恐らく同じカバー曲をやっても今のあの雰囲気というか、味は出せなかったと思う。そして男性が女性を観て「カッコイイ」と思うのは、私自身初めての経験。





駅舎内も堂々としている。まるで「本線」のような雰囲気。いや、本線を名乗っているだけあって立派な面構えだ。
私は素人ながら一応かつてはベーシストであったのである意味そういった物の見方になってしまうが、というより少々強引かも知れないが、特に留萌駅はそんな魅力に溢れている気がする。かつては「黒ダイヤ」でバリバリ活躍していたが、その面影を今でも感じる事が出来るのは貴重ではなかろうか。確かに、現在の留萌本線の終点駅・留萌は終端駅となってしまった。もちろん、建屋設備は昔からの物であるため往年の名残を感じるが、全盛期と比べたら線路の数が激減し、接続していた羽幌線と天塩炭鉱鉄道もなくなりすっかりスリムになってしまった。






往年の風景が未だ健在。であるが、駅舎側のホームがほとんど使用されることであろう。隣のホームはほぼ使用されていない雰囲気感。
だが、今だからこそ出せる留萌駅の「味」みたいなものを今回の訪問で感じてならなかった。もちろん列車本数も減り利用者も減った。だが、それこそ商業的にはフェードアウトする未来が待っている事であろうが、レールファンから観て、やはり今だからこの留萌の良さが分かる気がする。そして私自身も年齢を重ねたせいでもあろう。古き良き昭和時代の素晴らしさを、それこそ携帯電話がスマートフォンに進化したこの平成の時代において今でも鉄道の盛栄時代を伝え、そして残っているのはある意味奇跡かも知れない。運転されている車両は違えど、充分に留萌本線の存在を、そして魅力を私たちに教えれくれている。留萌駅に訪問された方は何を感じ、そしてこれから訪問される予定の方は訪問され何を感じるだろう。できればこの駅を失いたくない。




更に隣のホームの向こうにはだだっ広い空間が。以前に私のブログでも紹介しているがこの空間こそ黒ダイヤ時代の盛栄そのものだ。この空間にはレールが無数に張り巡らされ、そしてかつての羽幌線ホームもあったのだ。

さて、最後の一枚は・・・私のブログのタイトル画像とほぼ同じアングル画像の2017年である。そう、私のブログタイトルの画像は留萌駅で撮影されたもの。2008年の訪問なので、もうすぐ10年前になろうとしている。ただ前回と違うのは鉄路の先に車止めがある事。そう、ここは現在終端駅になってしまったのだ。

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「本線」という名の元に⑪ 大和田
2017-10-30

そしてここ大和田は伸也でもなければ漠でもない。というより、列車以外でこの駅に到達しようにはかなり覚悟を決めなければならない。それは、国道から一本外れ、それこそ草むらに囲まれた獣道的な道をひたすら進む。「本当にこの先駅があるのであろうか・・・」と感じてしまうくらいひと気が無い。いや、かつてはひとつの集落を形成していたであろうが、今や完全にゴーストタウンとなってしまった感じだ。
念のためウィキペディアで確認したところやはり道路切り替えにより集落も道路側にスライドしていったらしい。結果、大和田駅前は完全なるゴーストタウンと化してしまったらしい。そして何より、構内側線扱いで炭鉱路線もここから分岐していた歴史があり、正に今の姿が想像つかないくらい栄えた時代があった事だろう。

石炭と共に盛栄した留萌本線は、エネルギー革命と共に衰退してしまった。更にモータリゼーションや少子化などにより利用者が激減。しかしこの事は留萌本線だけに限った事でなく、全国的な現象でもあるため鉄道全体が抱えてる問題でもある。
そんな中でここ大和田のように付近に文明的なものを感じない場所を我々は「秘境駅」などと名付け観光的な気分でやって来るが、やはり固定の利用者が多数あって初めて鉄道として機能するし、そしてそれが本来の姿であろう。
残念ながら留萌本線には時間がない。もちろん現存区間の最期の日はまだ確定していないが、そう遠くない将来に発表があるであろう。




かつての駅舎より非常にコンパクトになったであろう大和田駅。北海道ではお馴染みの光景であろうが、基本、ここは駅である。駅前のロータリー風の空間に自転車やバス停などの設備は皆無であった。


駅前はご覧の通り、やや文明的な何かを感じるものの「駅前」の風景かどうかは意見が分かれるところか。





お約束の列車交換雰囲気。だが、他の駅と違うのは島式ホームである事。もちろん現在は片面使用であるが・・・

今回のレンタカーでの訪問で、列車訪問だけではわからなかったこの駅の素顔を見ることができた。もちろんそれは他の駅でも言える事だが、この先、留萌からの廃止区間を訪問して更に驚愕の光景に出会うことになろうとは・・・

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「本線」という名の元に⑪ 藤山
2017-10-25

次に紹介する駅は藤山であるが、ハッキリ言って寛美ではない。もちろん直美でもない。そんな理屈はどうでもいいのであるが、交換設備を外されてしまった今でも昔ながらの駅舎が残っているのが特徴でもあるここ藤山は、むしろこちらの方がドラマなどのロケ地に向いているかも知れない。観光化されておらずシンプルな駅舎は、レールファン的にはとても観光的な外観であるが、こうした駅舎も最近は貴重な存在になってきた。
私がかつて「いい旅チャレンジ20000km」で全国を駆け巡っていたときはこうした木造駅舎が当たり前の時代であり、むしろ「貨車駅」など存在せず、私の感覚では貨車駅は「新しい」部類である。
基本的に貨車駅は既存の老朽化した駅舎を置き換えるという意味があるため「新しい」という感覚は間違いではないが、木造駅舎から比べたら色気がないと思うのは誰もが感じるところであろう。
だか逆に、現在の貨車駅はある意味北海道特有の文化的な感じがしてしまうくらい特に北海道に集中している。
たが、こうして己を貫く藤山の駅舎も、近い将来に留萌~増毛間と同じ運命をたどってしまうのも残念でならない


ご覧の通り昔ながらの駅舎であるが、なぜか不自然にシンプル。その理由はウィキに記されていた。




何度か塗装し直されているのが伺える。そしてコマメなメンテナンスも施され、外観とは一味違った印象。現在は待合室のみの構造となっているが、もちろんかつては・・・





そしてホームに出てみると、他の駅で何度も紹介している「交換設備」の過去が見え隠れする。峠下以外に列車交換する事が出来ない留萌本線の現在であるが、如何にかつて貨物の輸送量が多かったのか、そして如何に現在の旅客の輸送量が多くないのか、無言の語りかけであろう。

建家の基礎的跡が。こちらにはかつての「駅務室」的なものがあったのだろう。できれば壊してほしくなかたのだが・・・



そういえば、私の地元にある相模線の相武台下駅の木造駅舎が取り壊されてしまった。これで昔ながらの駅舎があるのは北茅ケ崎、宮山、倉見、社家、下溝、番田となってしまった。ただ、番田は現在改築工事がなされており、昔ながらの木造駅舎は姿を消す事となる。そう考えると、この藤山始め留萌本線の各駅は昔ながらの駅舎が現存しているだけでも嬉しい材料。もちろん留萌本線自体が姿を消してしまえば元も子もないが・・・

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「本線」という名の元に⑨ 幌糠
2017-10-20

さて、留萌本線の駅を今まで紹介してきたが、ここで初めて「貨車駅」に触れることになる。というか、厳密には恵比島でも若干ながら触れているが、恵比島の場合、観光用に外装が施されており、ある意味ピュアな貨車駅ではない雰囲気である。それに比べここ幌糠は完全無欠の貨車駅として地味に眩しい存在であろう。留萌本線は意外に昔ながらの木造駅舎が残っており、むしろこうした貨車駅が少ない。
そいえばかつて峠下との間には東幌糠があった。国鉄時代は仮乗降場であったがその後駅に昇格。だが利用者僅少で廃止されてしまったので日の目を見た時間が少ない。恐らく現在は跡形もなくその姿をとどめているであろうが、我々の記憶には現役時代の姿がしっかりと刻み込まれている。
そんな東幌糠の駅名がここ幌糠に変わってしまった峠下の駅名標は実に寂しさを感じるが、この駅も交換設備が外され寂しくなってしまった。現在留萌本線で列車交換が出来る駅は深川、留萌、峠下の3駅であるが、事実上列車交換で稼働しているのは峠下のみであろうと思う。過疎化や高速道路の台頭で利用者が激減した留萌本線であるが、交換設備も激減し列車本数の増加ができなくなってしまった。もちろん今後の将来において利用者増加はほぼ実現不可能な事象なために留萌本線の寿命もそう長くない事が既に報じられている。ただ、その日時はハッキリとしていないが、やはり時間の問題であろう。

北海道ではお馴染みの「貨車駅」で対応されている幌糠。後に紹介する大和田も貨車駅となっているが、留萌本線は意外に貨車駅が少ない。

駅舎以外は昔の面影を何となく残す雰囲気。特に「黒ダイヤ」の時代は列車の行き来が激しかった事であろう。




ご覧の通り、この駅もかつては列車交換ができたであろう名残が。しかもかつては頻繁に列車交換が行われていたであろう。

とりあえず文明的な何かを感じる事ができるが、留萌本線の経営に関係するかどうかは微妙なところ。やはり今の時代は「一家に一台」であろうから、一日数本しかやってこない「アクセス」は希少な存在であろう。

かつて駅舎があった場所は「更地」になっていた。だが、そう遠くない将来にはこの駅自体が更地になってしまう可能性が・・・

隣の駅名は「シール」になっている。そう、そのシールを貼る以前には違う駅名が書かれていたのだ。

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「本線」という名の元に⑧ 峠下
2017-10-15

ご存じ、留萌本線の中間駅で唯一交換設備が残されたここ峠下であるが、周囲に民家はほぼ皆無で、利用者的にも北海道らしい数値であることは間違いないであろう。
そして駅舎に至っては「年季が入った」などという言葉で片付けてしまっては申し訳ないような年季の入り様で、恐らく石狩沼田や留萌よりも先輩に当たるであろう。
国道沿いにあるが、意識していなければ普通に通り過ぎてしまうであろうその空間は、文字通り「サミット」であるため、確かカーブの途中に駅へ通じる道があった記憶だ。

山道くねくねの途中に「峠下駅」と書かれた看板に従い右に折れると、そこはまるで異空間のパラダイスであった。寄り添う国道はトラックなどがバンバン飛ばしてくるが、峠下の駅前に入った途端、まるで時が止まっているかのような錯覚を起こす。もちろん駅前には商店や飲食店などの商業施設は皆無である。もしこれらの施設を必要とする場合は石狩沼田か留萌まで足を伸ばすしか術は無いであろうと思われる。実際に私自身も、石狩沼田から次の駅に向かおうとした時にレンタカーの燃料が気になった。この先スタンドかあるかどうか・・・一応ナビ検索してみたが、やはり石狩沼田まで引き返したほうが無難と判断。結局石狩沼田のスタンドで燃料を補給して次の駅に向かった。

峠下に着く頃には更に山深くなっていき、少なくとも国道沿いでは民家を見つける事が困難であったが、果たしてここ峠下の利用状況はどうなっているのであろうか。
某秘境駅訪問家の評価はそれほど高くはないが、秘境度的な部分のみを考えれば私的にはかなりの上位になるであろうと思う。留萌~深川間の中間駅で唯一交換設備が残されたのは、留萌~深川間のほぼ中間地点であるのが最大の理由であろうと思われるが、おかげで現在でも昔の姿が残されているのが嬉しい。現代人が昔の鉄道を体幹する事ができる貴重な峠下は、これから先時間が経過するにつれもっと貴重となってくるであろう。





では早速駅舎から。留萌本線は比較的昔の駅舎が残っている路線でもあるが、やはりこうした古式ゆかしい駅舎は無意識に気に留めてしまう。時間の経過や時代の変化と共にだんだん貴重なものとなってくるが、こちらの場合、最終着地が見えている事から出来るだけ早いうちの訪問がよかろうと思う。







ホームは舗装されておらず、砂利や土ベースになっている。周囲は文明的な何かが全く見当たらない。ウィキによると付近には農家が一軒あるだけとの記述が。


恐らく「冬季グッズ」が収納されている事であろうと思われる。こういう倉庫も昔のままってのがまた味がある。「新しいもの好き」「時代の最先端」などと、よく古いものは敬遠されがちな日常もあるが、「古き良き」「昔ながらの」など、ある意味かつてからずっと引き継がれているものも、こうして今も活き続けているからこそという日常もあるから良い!

国道直結の駅前一等地。その国道は文字通り山深い。夜中には恐らくひとりで歩けないであろう。

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