上田で荷物を忘れてしまいましたが ⑨
2023-03-25
「木綿のハンカチーフ」ばりにようやくこの章のタイトルの意味が登場したが「東へと向かう列車」ではなく、小諸より西へ向かう列車に乗りやって来た上田で別所温泉まで上田電鉄で向かう。かつては「上田交通」と名乗り、懐かしい、というより私の知らない古典的な電車の数々が運転されていたが、現在は分社化され「上田電鉄」となり、首都圏在住の私にしてみたら昔から馴染みのある東急系の前近代的な車両が顔を揃えていた。だが、そんな懐かしいノスタルジックな気持ちをよそに、別所温泉に着くとまたまた事件は起こってしまった。


上田電鉄は「上田交通」らしい駅名標が続く。かつては上田市を中心に多くの路線網を誇っていたが、現在は別所線のみが営業している。下之郷からはかつて西丸子線を分岐していたが、私が生まれる前に廃止されてしまったので私自身も全くわからないのは残念だ。
既に暦は師走であり、信州信濃の夜は首都圏よりもコートの襟を立てる場面が多くなる。別所温泉駅は終点、始発駅のためワンマン運転の列車もここではドア全開放となるため、更に夜という事もあり、背中を丸めながらうずくまるように妻はロングシートにひとり座っていた。駅に着いたらとりあえず写真を撮りたかったので妻を車内に残し私は車両を出た。上田電鉄では一応フリー切符だったため、私は駅舎を撮影したり駅名標を撮影したりしてから車内に戻った。すると妻と運転手が何やらやり取りをしていた。
「大丈夫ですか?、何かありましたか?」
そりゃそうだ。終点の駅に着いたにもかかわらず、しかも古くからある有名な温泉街に大きな荷物を持っているのだから明らかに地元の利用者とは思えない。なのに列車から降りようともせずにひとり車内でうずくまっているのだから、当然ながら声かけられるわな、的なシチュエーションである。
「これこれこうで、主人を待っているんですよ」
みたいな説明をしていたが、切符は私が2人分持っていたので大丈夫かなと思った。だが、どうやら運転手は旦那様が「その道の人」と察したようで、その場から離れた。有名な温泉街には目もくれず、来た列車でそのまま上田に折り返すなど、一般から見れば非常に変わった乗客であろう。まぁ、レールファンを何十年とやっていると色々な事があるが、一般的にはかけ離れている。
上田電鉄の関係者の皆様、その節はご迷惑おかけしました事、この場を借りまして深くお詫び申し上げます。

画像はウィキペディアより引用させてもらった別所温泉の駅舎は数々の旅番組や映画などに登場し、その風景をご覧になった方も少なくないであろう。
ちなみに別所温泉駅は映画「男はつらいよ」にも登場するが、その時代とほぼ変わらない風景が今も残っているのだから素晴らしい。ただ私の訪問した時間帯は夜だったため既に風景は暗闇の中にあるため確認が困難であったのが残念な材料であった。
そんな事件も列車が上田に向けて走り出したらいつしか消え去り、再び上田に到着した。初めて来た上田電鉄なのに高架式で新幹線の下に潜り込むのはやはり「上田交通」ではなく「上田電鉄」なのかと違和感を感じてしまうのはなぜだろう。電光掲示板の行先案内を見ると、やはり上田交通らしくないイメージが頭をよぎる。


残念ながら、夜遅くなってしまったため駅舎の撮影はできなかったが、ホームの雰囲気はなんとか撮影に成功した。あえて残しているのであろう昭和の風景は実に嬉しい。ただ、私がこうして撮影してる最中、車内にいる妻は運転手と意味深なやり取りをしているとは・・・
いよいよ今夜の宿泊地、松本に向かう。小諸に寄り道をした関係上、松本に着く時間がかなり遅れる事になるので宿泊先に一報を入れる。近年に急成長をしているビジネスホテルのためいろいろ融通がきく。清潔感もあり、リーズナブル。私が国鉄時代に全国を駆け巡っていた頃とは全く違う時代になったと染々感じてしまった。
明日は松本電鉄改めアルピコ交通を体験することになるが、この素敵なビジネスホテルの空間で一夜を過ごしたら、居心地よくて予定の列車にも乗り遅れてしまうのではないか…のような不安がよぎってしまう。
夜行列車が当たり前のかつての乗りつぶし時代とはかなり変化した私の旅は、これから先もまだまだ続きそうだ。

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上田電鉄は「上田交通」らしい駅名標が続く。かつては上田市を中心に多くの路線網を誇っていたが、現在は別所線のみが営業している。下之郷からはかつて西丸子線を分岐していたが、私が生まれる前に廃止されてしまったので私自身も全くわからないのは残念だ。
既に暦は師走であり、信州信濃の夜は首都圏よりもコートの襟を立てる場面が多くなる。別所温泉駅は終点、始発駅のためワンマン運転の列車もここではドア全開放となるため、更に夜という事もあり、背中を丸めながらうずくまるように妻はロングシートにひとり座っていた。駅に着いたらとりあえず写真を撮りたかったので妻を車内に残し私は車両を出た。上田電鉄では一応フリー切符だったため、私は駅舎を撮影したり駅名標を撮影したりしてから車内に戻った。すると妻と運転手が何やらやり取りをしていた。
「大丈夫ですか?、何かありましたか?」
そりゃそうだ。終点の駅に着いたにもかかわらず、しかも古くからある有名な温泉街に大きな荷物を持っているのだから明らかに地元の利用者とは思えない。なのに列車から降りようともせずにひとり車内でうずくまっているのだから、当然ながら声かけられるわな、的なシチュエーションである。
「これこれこうで、主人を待っているんですよ」
みたいな説明をしていたが、切符は私が2人分持っていたので大丈夫かなと思った。だが、どうやら運転手は旦那様が「その道の人」と察したようで、その場から離れた。有名な温泉街には目もくれず、来た列車でそのまま上田に折り返すなど、一般から見れば非常に変わった乗客であろう。まぁ、レールファンを何十年とやっていると色々な事があるが、一般的にはかけ離れている。
上田電鉄の関係者の皆様、その節はご迷惑おかけしました事、この場を借りまして深くお詫び申し上げます。

画像はウィキペディアより引用させてもらった別所温泉の駅舎は数々の旅番組や映画などに登場し、その風景をご覧になった方も少なくないであろう。
ちなみに別所温泉駅は映画「男はつらいよ」にも登場するが、その時代とほぼ変わらない風景が今も残っているのだから素晴らしい。ただ私の訪問した時間帯は夜だったため既に風景は暗闇の中にあるため確認が困難であったのが残念な材料であった。
そんな事件も列車が上田に向けて走り出したらいつしか消え去り、再び上田に到着した。初めて来た上田電鉄なのに高架式で新幹線の下に潜り込むのはやはり「上田交通」ではなく「上田電鉄」なのかと違和感を感じてしまうのはなぜだろう。電光掲示板の行先案内を見ると、やはり上田交通らしくないイメージが頭をよぎる。


残念ながら、夜遅くなってしまったため駅舎の撮影はできなかったが、ホームの雰囲気はなんとか撮影に成功した。あえて残しているのであろう昭和の風景は実に嬉しい。ただ、私がこうして撮影してる最中、車内にいる妻は運転手と意味深なやり取りをしているとは・・・
いよいよ今夜の宿泊地、松本に向かう。小諸に寄り道をした関係上、松本に着く時間がかなり遅れる事になるので宿泊先に一報を入れる。近年に急成長をしているビジネスホテルのためいろいろ融通がきく。清潔感もあり、リーズナブル。私が国鉄時代に全国を駆け巡っていた頃とは全く違う時代になったと染々感じてしまった。
明日は松本電鉄改めアルピコ交通を体験することになるが、この素敵なビジネスホテルの空間で一夜を過ごしたら、居心地よくて予定の列車にも乗り遅れてしまうのではないか…のような不安がよぎってしまう。
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