出雲大社へ新陳代謝!(リメイク版)
2013-06-05

私はJR「大社駅」に来た。しかし列車はもう来ない・・・そう、ここは既に廃止されているのだ。しかしこの駅は、国の重要文化財に指定されているため、ほぼ往年の面影をそのままとどめている。全盛期には東京や大阪から直通の列車が頻繁にやってきたため有効長の長いホームが2面3線あり、改札も数が多い。しかし線路部は草木が元気よく生い茂り、赤くさび付いたレールがかすかに顔を覗かせる。国鉄からJRになり、その後も現役として頑張ってきた大社線も、時代の波には勝てなかった。1990年春に「過去の物」と変身したのだ。私は1980年代に出雲方面は何度か訪れたが、大社線に乗るチャンスを作れなかった。やっと訪れたチャンスは2010年8月・・・太陽が容赦なく肌を焦がしていくような季節であった。

一畑電車を制覇する途中、妻を「出雲大社前」駅の前にある喫茶店に残し私は一人でバスに乗り「大社駅」へ向かった。といってもほんの1~2分も乗ったか乗らないかであっけなく到着。バスを降りると一気にサウナ風呂にでも来たかのような蒸し暑い空気に包まれながら、バス停から若干徒歩を要し広い空間の奥に神殿造りの建物を見た。ここが旧JR大社駅である。しかし「出雲大社」の玄関口であったにしては、かなり出雲大社から距離がある。1km以上はあろうか。一畑電車の「出雲大社前」駅からも若干、出雲大社とは距離があるが、JRの大社駅はさらに距離があるのだ。これではモータリゼーションの波にに勝てるはずがない・・・しかし、かつては盛隆期も確かに存在したし「玄関口」でもあった。その証拠に、国の重要文化財だけあって、メンテナンスが行き届いてる。今にも列車がやって来そうな感じだ。

駅舎に入ると切符売り場には制服を着た「マネキン」が迎えてくれたが、切符は販売してくれなかった。改札を通り抜けホームに出てみた。先程述べたようにレールは残っているが、数メートル先で鉄路は途切れて公園になっていた。となりのホームにはSLが静態保存されていた。そこには観光客らしき人が(というより観光客だ)家族でSLに乗ったり写真を撮ったりと、なかなかの観光名所となっている。構内は広く、かつては機回し線や側線も多く存在したであろう。ローカル線の終点駅にしては立派だ。しかし、既にここは廃止されている現実。列車はやってこないのだ。暫くすると、若干催したため駅の化粧室に行った。こちらは現役だ!水もちゃんと出るし掃除も行き届いている。増して、こちらも神殿造りとなっているではないか!この化粧室も「重要文化財」なのであろうか・・・
現在、駅としての機能はしていないが、やはりかつての栄光は輝かしい。世の中が便利になり裕福になる中「マイカー」という名の交通手段を我々は手に入れた。「公共」という名の交通手段は限られた不特定多数の人以外、利用する者は極端に減少し、団体は「バス」に変化していった。「ドア・TO・ドア」の時代に「鉄道」は、確かにSLの時代から比べたら進化し便利になっているが「前近代的」かも知れない。SL時代より性能は上がっているのに利用者は減少している。特にそれは地方には顕著に現れている。しかしこうしてかつては「玄関口」としてしっかり出雲大社を支えてきた。既に現役を終え年金生活でも送っているかのような「重要文化財」も、夏の日差しに負けないよう、後世に語り継がれてほしい。


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