廃止路線を訪ねて② 東武鉄道・熊谷線

1983年5月に営業を終えた東武鉄道の非電化路線「熊谷線」は異色であった。「非電化」というところがまず気になる。起点の熊谷は秩父鉄道ホームを共用していた。営業係数が500を超えていたとの噂も聞いたことがある。しかしながら「率」では大きいが「額」ではそれほどの損益ではなかったのでは?と思っていたが、年間2億円位の赤字があったらしい。計画では同じ東武鉄道の小泉線と繋がる予定であったが、戦時中の資金難で頓挫したらしい。

まぁ、数値的な事は数学不得手の私にとっても、中学生時代の私にとっても理解の範囲に達しない。それより首都圏でキハ2000が拝見できるのに廃止されてしまう事の方がとても重要であった。

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(秩父鉄道と共用する東武熊谷線ホーム。現在は東武熊谷線であったところも秩父鉄道で使用され、熊谷駅で列車交換ができるようになった。)

なんとなく以前に流行の「80系」に似ているが、若干小ぶりな趣きである。既に隣には「新幹線」が開通し、新潟までの交通手段が格段に進歩した時代に、このDCが健在とは!なかなか愛らしいではないか。

さて、私はこの熊谷線を廃止前に乗ろうと神奈川県よりはるばるやってきた。廃止された日が1983年5月なので、直前に行った記憶はないが恐らく4月だと思う。というのは、妻沼駅にての写真で判断した。私は全く季節感が無いのは先述しているが、桜の花がバックに見える。

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(妻沼駅全景。若干構内が広いのは貨物輸送的な事を将来的に見越してか、それとももともと線路がたくさんあって撤去されたのかは不明。)

熊谷駅において、秩父鉄道のホームを共用していたのは先述したが、それが制約となり「交換設備」が設置できなかったのが秩父鉄道の悩みでもあった。
そのホームより出発する列車では、私のような「通常客」ではない乗客がちらほらみられ、写真を撮るのに忙しい。肩身の狭い思いをしていそうな表情にも見えたDCは、廃止が決まりなんだかホッとした表情にも見て取れた。そんな私を乗せた列車は、東京近郊にしては「生活」があまり感じられないような景色にみえた。もともと生活路線として敷設されたわけでもないので、走るルートも「その様な」景色に見えるのであろう。意外に宅地化が進んでおらず、これも熊谷線の成績が伸び悩んだ原因であると思われる。

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(ご覧の通りの中間駅。かなり「昔」の印象が強い佇まい。)

上熊谷まで秩父鉄道と並走するが、その先は北に向かいカーブすると田園の中を走っていた印象だ。上熊谷を過ぎ次の大幡に着く頃にはつくづくそう感じた。もちろん住宅は点在するのだが・・・
そしてわずか数分で終点・妻沼に到着。棒線化されたホームは私のような「同業者」たち以外の乗客は僅少に近い。早速入場券を求めに行ったり設備の撮影に行ったりと、なかなか作業に追われるのも我々の運命だ。駅舎を撮影しようと駅前に出ると「熊谷線廃止反対」の看板が目に飛び込んできたが、その文字はなぜか弱々しい印象であった。

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(妻沼駅の駅舎。「廃止反対」の文字がむなしく映るが、駅前に停車中の一台の車が「昭和」を感じさせる。)

妻沼駅は棒線化されている事は先述しているが、意外と構内は広く、将来に向けての「スペース」なのか、それとも撤去されたのか、若干広い印象だ。もし小泉まで線路がつながっていれば「パレオエクスプレス」が妻沼を経由していたかもしれない。そう考えるとなんだかワクワクしてくるが、それより熊谷地区の「構図」も今とは随分と違っていただろう。
僅か10キロほどの短い盲腸線であったが、それでもしっかりと歴史がある。私は当時「歴史」等を考えずにただ「廃止」と聞くと反応していた。しかし、どんな短く小さな鉄道でも「歴史」を考えると先人の「思い」が伝わってくるような気がする。例えそれが最初は「軍事目的」であっても、平和な世の中になって人々の生活に「平和的に」利用されれば先人が敷設した意味も違った意味で活かされる。

現在、熊谷線の跡は30年経過した今でもまだまだ確認できるらしい。当時とは違った視点で「再訪」してみるのも価値がありそうだ。

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(終点の妻沼駅。隣の大幡と雰囲気的に全く同じ印象。右側の隣のスペースに駅名が記載される事はとうとう無かった。)

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ダイヤモンド☆トナカイ

Author:ダイヤモンド☆トナカイ
所在地:神奈川県湘南地区

〇2013年6月11日、北陸新幹線長野駅にてJR全線制覇いたしました(当時)。
国内の鉄道は、沖縄の「ゆいレール」を残し全線制覇しました。(とは言うものの、2015年3月の北陸新幹線延伸によりJR全線制覇は「ベルト返上」しました)

★ ブログ記事の「リメイク版」は、以前にホームページで紹介した旅日記をブログでリメイクしたものです。


◎ブログの登場人物

★ ダイナミック☆トナカイ
・・・中学時代の後輩で、2013年に約30年振りに再会を果たした。数多くの写真を提供していただいた「盟友」でもある。

★ おさる・・・かつて私がバンド活動をしていた時のメンバーで、鉄道復活のきっかけを作ってくれた人物。彼とは「秘境駅」を数回訪問した「親友」でもある。

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