fc2ブログ

鉄道全線完全制覇の旅

昭和から平成へ・・・全線制覇の旅紀行!

仮想・阿佐線の旅③

甲浦駅を出発した路線バスは、やはり海岸を走る印象は無く山間部特有のカーブの連続が我々の身体を左右に揺らす。まるで「日光・いろは坂」とは言わないが、とても「海」をテーマにしているとは思えないくらいカーブとアップダウンが激しい。恐らく鉄道であればトンネル区間となり数分で通り抜けるであろう。
室戸に近付く頃には海岸が顔を出し始めた。この辺で乗客が若干下車。奈半利へ向かう乗客は私たち二人となった。室戸と言えば「岬」が大変有名であるが、近年では「海洋深層水」で知られる。特に「海洋深層水ミネラルウォーター」は年間商材であり室戸市でも力を入れているが、人口は年々減少傾向にあり、1970年には約27000人だったのが2010年には約15000人と、ほぼ半分近く減少している。やはり鉄道の延伸は難しいのか・・・
奈半利に近付くと段々民家も増えてきて若干の乗客があった。そして「奈半利」という停留場の表示があったため「奈半利」と「奈半利駅」は違うのか?と運転手に問うた。すると「奈半利駅前」というバス停が別にあるらしい。とても便利であるが、下車したのは私たちグループのみであった。

PIC_2093_convert_20130417173426.jpg
(奈半利駅)

こちらも甲浦同様、駅前にはロータリーが整備されているが、売店などもあり若干活気づいているが、レールが途切れた先に延伸の準備は無い。しかしこれから向かう後免方面までは、かつて「土佐電気鉄道安芸線」として活躍していた路線とほぼ競合し、一部の用地は阿佐線の高架橋などに使用されている。
やはり中心駅は「安芸」であるが、某野球チームがキャンプ地としているため地元でもチームカラーを必死にアピール。「ここは道頓堀か?」と間違えてしまうほどの勢いだ。また、本社や車庫もここにあり、文字通り「拠点」である。

PIC_2098_convert_20130417173715.jpg
(安芸駅)

また、阿佐線では「オープンデッキ車両」が運転されており、車窓から見る太平洋は圧巻だが、私の訪問時は残念ながら予定に組み込めなかった・・・もちろん海岸側に「オープン」している。この事からも分かるように「観光」にも力を注いでおり、かなり「好調」のようだ。

765px-TK_9640-2_convert_20130419162230.jpg
(オープンデッキ車両・画像はウィキより転用)

私は「制覇」しなければならないため後免に到着したが、土電(土佐電気鉄道)の路面電車を制覇するため1分後に発車の奈半利行に乗り隣の「後免町」まで折り返すという、何とも不可思議な行動をとった。乗車した車両はJR仕様であった。つまり「乗り入れ車」だ。こちらもJRとの乗り入れ運転が行われ高知駅まで直通していて便利である。私は「高知発」に乗車したが、後免町から「土電」に乗り換え高知へ向かう者は「異色」に映るであろう・・・

PIC_2104_convert_20130417142333.jpg
(後免駅)



ザッとではあったが、阿佐線を完乗してみた。JR・バス・第三セクターと全く違った経営内容である路線であるが、かつては「国鉄」が鉄道として開通させようとした区間だ。時代と共にその「意味」が問われる事になってしまったが、もし開通して特急「むろと」が運転されていたらなんとなくワクワクするではないか!徳島⇔高知(室戸経由)などとサボに記されていたら思わず乗ってしまいそうな光景が目に浮かぶ。そんな期待が、現在運転されている特急「むろと」のネーミングに込められている気がしてならずにいた。


にほんブログ村 鉄道ブログへ
にほんブログ村

にほんブログ村 鉄道ブログ 日本全国の鉄道へ
にほんブログ村

にほんブログ村 鉄道ブログ 鉄道乗車記録へ
にほんブログ村

スポンサーサイト



仮想・阿佐線の旅②

海部より第三セクターによる開業区間「阿佐海岸鉄道・阿佐東線」に揺られ甲浦を目指す。地図上では牟岐線も阿佐東線も海岸付近を通っているように見えるが、実際の車窓は「伊豆」の景色と間違えてしまうほど山間部である。かなりトンネルが多く、「海岸鉄道」は異名に思えるが、それなりの演出も準備してあった。車内はトンネルに入るたびに年末を思わせる「聖なる光」がお目見えする。

PIC_2088_convert_20130417142015.jpg
(阿佐東線の車内)

阿佐東線は、全長8.5kmの短い路線であるが、ほとんど牟岐線の一部として機能しているといってもいいであろう。もちろん自社線内の運用があるのは当然だが、JRとの乗り入れもあり直通客にはとても便利だ。途中、宍喰駅は本社と車庫があり、当駅止まりの列車も設定されている阿佐東線の中心駅だ。ほぼ全線に渡り高架を走るため線形は良く、駅も全駅高架であるが、ワンマン単行の往復では若干過剰な設備の感時の印象である。

PIC_2089_convert_20130417142119.jpg
(甲浦駅)

海部を出て10分程で終点甲浦に到着した。駅の遙か彼方に海岸を望めるが、徒歩では若干時間を要するようだ。鉄道路線はここから更に室戸を経由して阿佐線・奈半利より後免に到達する計画であったが、現在は後免~奈半利が「土佐くろしお鉄道」として開業している。甲浦~室戸~奈半利は周知の通り未成線であるが「よし、作るぞ!」という「意思表示」はこの甲浦駅からは伝わってこない。その理由は・・・阿佐東線の線路は甲浦でプツリと途切れているが、その延長線上に駅舎がある。つまり延伸の際は駅舎を壊すか移築しない限りレールの敷設は不可能な設計になっている。

PIC_2090_convert_20130417142225.jpg
(甲浦駅・駅舎)

実際に地元でもこの「延伸」についてはほぼ関心が無いらしく「室戸への延長を!」みたいな運動や看板もほぼ皆無である。「モータリゼーション」といわれて久しいが、時代の変化と共に先代の夢と希望も今や本当に「夢」として消え去ろうとしている。
しかし未成線の区間は「路線バス」が結んでいる。某テレビ番組の「ローカル路線バス乗継ぎの旅」でも紹介された「高知東部交通」がこの路線を受け持つ。甲浦~安芸まで室戸岬を経由して約2時間、2800円は高いか安いか・・・私は奈半利までなので2340円であるが、路線バスにこれだけの料金を支払うのは「初」の試みだけに若干勇気がいる。
路線バスは甲浦駅の始発ではなく「甲浦岸壁」というバス停からやってくる。甲浦駅前は若干ロータリーになっておりバス乗り場も整備されてはいるが「駅前」と呼べるほどの賑やかさは無く、むしろ「秘境」に近い。民家は点々と存在するが、駅は国道や県道と接しておらず、一本奥に入るような形をとっているためそういう印象を受けるのかもしれない。
さて、若干4分遅れでやって来た「路線バス」はそれなりの「バス」でありマイクロではなかったのでいい意味で裏切られた感じだが、乗客は1から2名いた。甲浦駅からの乗車は私たちを含め約6名ほど。この乗客が全員「安芸」までは行かないであろうが、若干観光風の身なりの乗客もあり、それなりの「機能」はあるであろうが絶対数が僅少であろう。複雑な思いを乗せ、いざ奈半利へ向かう。

にほんブログ村 鉄道ブログへ
にほんブログ村

にほんブログ村 鉄道ブログ 日本全国の鉄道へ
にほんブログ村

にほんブログ村 鉄道ブログ 鉄道乗車記録へ
にほんブログ村

仮想・阿佐線の旅①

阿佐線をご存じであろうか?というより皆さんの方がよくご存知であろう。私が説明するまでもないが、あえて説明させていただくと・・・
阿佐線とは、鉄道敷設法によると「高知縣後免ヨリ安藝(芸)、徳島縣日和佐ヲ經テ古庄附近ニ至ル鐵道」と記されている。波と土、つまり徳島県と高知県を室戸岬経由で結ぼうというわけだ。ということで全線開通目指して工事が進められていたが、いわゆる「国鉄再建法」により1980年に工事が中断された。しかしほとんど完成していた事を受け、第三セクター会社を発足させ工事を再開させた。1986年には後免~奈半利が、1988年には海部~甲浦が工事を再開し1992年に海部~甲浦が、2002年には後免~奈半利がそれぞれ開業し現在に至っている。徳島県側の、いわゆる「阿佐東線」は一部牟岐線と阿佐海岸鉄道として、高知県側の、いわゆる「阿佐西線」は土佐くろしお鉄道阿佐線としてそれぞれ営業しているが、新しい鉄道ファンはこのふたつの路線がひとつになる事はあまりピンとこないであろう。私自身もあまりピンとこないし完全に「別のもの」と捉えている。会社のカラーが全く違うし性格も違う。実際にこのふたつの路線がつながる事はほぼ夢で終わるであろう。しかし未成線の部分は「路線バス」が結んでいる。このバスを使うことによって「仮想・阿佐線」が体験できるのである。

PIC_2074_convert_20130417130751.jpg (徳島駅で発車を待つ「むろと」)

さて、私の「阿佐線」へのアプローチは「サンライズ」で高松へ降り立った後「うずしお」で徳島へと向かった。時は2012年1月。そして特急「むろと」に乗り換え、牟岐線への参戦となった訳だ。実は高徳線と牟岐線に関しては1984年8月に、当時四国の国鉄路線を全線制覇しに訪れたのだが、その時以来の訪問で、その間なんと28年!単純に28年というと28年前に生まれた人が現在28歳になっているという事だ。そういえば、私の義弟が昭和59年生まれ、つまり1984年生まれだ!そう、彼がオギャーと産声を上げたときに私は「鉄道八十八か所めぐり」をしていたことになる。私も年を取るわけだ・・・

PIC_2081_convert_20130417141543.jpg
(牟岐では同じホームで乗り換えができて便利)

牟岐線の中心駅は「南小松島」と「阿南」であろう。駅付近は意外に賑やかだ。特に南小松島は「小松島線」が廃止れて以来、小松島市の「顔」となり活躍している。1984年に訪問の際はここより歩いて小松島港駅まで行った。途中、銭湯に寄ったりしたがフェリー乗場もあり「港町」といった風情か。途中「田井ノ浜」という、海水浴シーズンのみに開設される臨時駅もあり、意外に沿線は賑やかだ。やがて牟岐に着いた特急「むろと」はすぐ隣のホームにいる普通列車海部行きと接続する。できれば甲浦まで乗換え無しで行きたいのが本音であったが、会社も違う事だしあえて乗り換えがあった方が、程よくいい運動になる。そして海部に着くと早速「阿佐海岸鉄道」に乗り換え甲浦まで行くこととなる。

PIC_2086_convert_20130417141911.jpg
(海部駅に進入する阿佐東線のDC)

「徳島縣日和佐ヲ經テ古庄附近ニ至ル」部分は完全に牟岐線の一部として既に開業している。また阿佐海岸鉄道もその一部を構成している。国鉄(JR)としては牟岐~海部の区間が牟岐線内では一番新しく、昭和48年の開業だ。終点の海部は高架駅であるが、当時は一面一線で無人駅であった。しかしながら将来に向け、隣には列車交換用の線路とホームのスペースが用意されており「未来」の材料が明るく映っていた。

PIC_2085_convert_20130417141811.jpg


にほんブログ村 鉄道ブログへ
にほんブログ村

にほんブログ村 鉄道ブログ 日本全国の鉄道へ
にほんブログ村

にほんブログ村 鉄道ブログ 鉄道乗車記録へ
にほんブログ村

 | HOME | 

文字サイズの変更

プロフィール

ダイヤモンド✡トナカイ

Author:ダイヤモンド✡トナカイ
✩2022年4月より毎週土曜日更新になります✩


昭和・国鉄の話題を中心に紹介しています。


2013年に長野新幹線の長野駅にて「いい旅チャレンジ20000km」よりスタートした国鉄時代の制覇を含めJR全線制覇を、そしてゆいレール以外の鉄道全線制覇を達成いたしました。


以降、北陸新幹線と北海道新幹線などの開業によりタイトルは返上しています。

JR以外の私鉄を含む鉄道未制覇路線は北陸新幹線(長野~金沢)・北海道新幹線・仙台地下鉄東西線・仙石東北ライン・富山地方鉄道延伸部分・ゆいレール・相鉄直通線(相鉄新横浜線)、そして新規開業の西九州新幹線や宇都宮に開業したライトレールも新たに加わりますます未制覇路線が増えてしまいました・・・

にほんブログ村 鉄道ブログへ
にほんブログ村


にほんブログ村 鉄道ブログ 鉄道乗車記録へ
にほんブログ村

最新コメント

最新記事

カテゴリ

新年のご挨拶 (11)
相模線 (45)
西寒川駅 (7)
管理人のひとりごと (31)
時刻表の旅 (9)
きっぷコレクション (5)
フォトギャラリー (25)
サボ (2)
駅訪問 (41)
新十津川駅 (1)
北海道・廃駅 (2)
北海道・信号場 (4)
かけめぐる青春 (10)
奥津軽 (2)
東成田 (1)
九州駅巡り(廃止駅) (9)
九州駅巡り(現役駅) (3)
第三セクター転換前国鉄時代 (5)
松浦線 (2)
阿仁合線 (3)
機関車 (5)
SL (3)
快速列車・普通列車 (17)
奥久慈風っこ号 (6)
夜行普通列車 (9)
急行列車 (11)
新幹線 (6)
寝台特急 (26)
583系 (2)
JR特急 (15)
JR九州・特急列車 (3)
ドリームにちりん (2)
ゆふいんの森 (2)
JR北海道・特急 (4)
JR四国アンパンマン特急 (1)
廃止路線 (118)
留萌本線(留萌~増毛) (8)
士幌線 (5)
ふるさと銀河線 (8)
深名線 (4)
幌内線 (2)
広尾線 (7)
万字線 (3)
湧網線 (1)
天北線 (4)
佐賀線 (1)
大社線 (1)
大畑線 (1)
清水港線 (5)
鹿児島交通 (1)
高砂線 (1)
倉吉線 (1)
矢部線 (1)
赤谷線 (1)
日中線 (1)
白糠線 (7)
小松島線 (1)
三木線 (1)
鍛冶屋線 (1)
三江線 (35)
岩泉線 (5)
十和田観光 (1)
東武鉄道熊谷線 (2)
ドリーム交通 (1)
同和鉱業 (3)
下津井電鉄 (3)
一円電車 (1)
青春18きっぷ (58)
1982年・春<青春18> (5)
1982年・夏<青春18> (6)
1983年・春<青春18> (15)
1984年・夏<青春18> (6)
2008年夏<青春18> (7)
2009年夏<青春18> 広島 (11)
2010年<青春18>+伊賀鉄道+近江鉄道 (6)
周遊券・フリーきっぷ (119)
1983年・夏<東北ワイド周遊券> (36)
1983年・秋<北海道ワイド周遊券> (5)
2008年・北海道 (7)
2009年・北海道 (10)
スルッとKANSAI① (10)
スルッとKANSAI② (10)
九州制覇①2008年 (9)
九州制覇②2010年 (9)
九州制覇③2011年 (13)
2013年北陸 (10)
JR北海道 (101)
宗谷本線 (34)
根室本線 (1)
石勝線 (16)
石北本線 (7)
江差線 (1)
釧網本線 (1)
日高本線 (18)
留萌本線 (15)
室蘭本線 (8)
JR東日本 (51)
東海道本線 (1)
男鹿線 (2)
湘南新宿ライン (5)
仙山線 (3)
北上線 (3)
磐越東線 (2)
信越本線 (1)
鶴見線 (11)
五能線 (2)
篠ノ井線 (1)
磐越西線 (6)
中央東線 (2)
白新線 (1)
弥彦線 (2)
上越線 (7)
JR東海 (27)
中央西線 (2)
身延線 (3)
御殿場線 (2)
飯田線 (13)
関西本線 (1)
高山本線 (6)
JR西日本 (61)
姫新線 (1)
呉線 (1)
木次線 (8)
伯備線 (3)
芸備線 (18)
美祢線 (2)
山陰本線 (8)
因美線 (5)
可部線 (7)
播但線 (1)
JR四国 (12)
予讃線 (5)
JR九州 (22)
唐津線・筑肥線 (6)
指宿枕崎線 (2)
日田彦山線 (8)
肥薩線 (3)
日南線 (3)
私鉄東日本 (76)
弘南鉄道 (1)
相模鉄道 (5)
江ノ電 (7)
津軽鉄道 (1)
東武鉄道 (1)
湘南モノレール (1)
野岩鉄道 (8)
三陸縦断 (7)
長野電鉄 (4)
箱根登山鉄道 (12)
ひたちなか海浜鉄道 (5)
小湊鉄道 (4)
鹿島臨海鉄道 (6)
しなの鉄道 (2)
上信電鉄 (4)
上田電鉄 (1)
いすみ鉄道 (4)
ディズニーリゾートライン (0)
アルピコ交通 (1)
富士急行 (2)
私鉄西日本 (117)
大井川鉄道 (6)
長良川鉄道 (2)
岳南電車 (11)
紀州鉄道 (1)
えちぜん鉄道 (0)
三岐鉄道 (1)
島原鉄道 (1)
福井鉄道 (2)
阿佐線 (3)
東海交通事業 (2)
スカイレール (1)
広島電鉄 (1)
天竜浜名湖鉄道 (2)
門司港レトロ観光 (1)
平成筑豊鉄道 (1)
名古屋鉄道 (7)
北陸鉄道 (2)
万葉線 (2)
富山地方鉄道 (6)
関西電力黒部見学ルート (10)
近畿日本鉄道 (5)
富山ライトレール (4)
伊豆急行 (17)
黒部峡谷鉄道 (4)
能勢電鉄 (1)
静岡鉄道 (16)
水島臨海鉄道 (5)
養老鉄道 (2)
智頭急行 (1)
遠州鉄道 (0)

カウンター

月別アーカイブ

最新トラックバック

リンク

このブログをリンクに追加する

検索フォーム

RSSリンクの表示

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード

QR

Template by たけやん