芸備線讃歌⑯ 備中神代
2017-03-25

いよいよ芸備線シリーズの千秋楽を迎え、紹介する駅は備中神代になった。公式上の起点駅となっているが、実質の起点はお隣の新見となるであろう。実際に芸備線の列車は全て新見まで乗り入れる。そしてここは伯備線との接続駅となっているのは周知の通りであろうが、伯備線と芸備線のホームはハッキリと区別され、芸備線は3番線のみを使用する。かつては素敵な木造駅舎が存在したが、現在は駅舎が撤去され、残念ながら趣が半減以下になってしまった。しかしながらホームへ出てみると、その魅力は相変わらずであるが、伯備線電化に合わせホームも若干ながらリニューアルされて30年以上立っているとは思えないほどのメンテナンスぶりであった。


かつての木造駅舎時代の部品の一部が使用されている駅入口。左側のポストも木造駅舎時代と変わらないのが嬉しい。



思わず「いいね」をポチっとやってしまいたくなるような駅雰囲気。架線柱が大体的にあるのはもちろん伯備線の影響からである。というか芸備線の駅らしくないねっ!

今まで紹介してきた芸備線の駅の中で最も立派な雰囲気であろう。1983年に電化された際にホーム等の設備が改良され、そして現在に至っている。

時刻表に乗っている数字の羅列がやや多く感じるのは、今まで芸備線の時刻表しか見てこなかったからであろう。
さて、皆様は備中神代駅に対しどのような印象をお持ちであろうか?私は中学生、いや、小学生時代から思い入れのある駅としての印象が強い。秘境駅?いや、そうではないが、辺は穏やかな時間が過ぎている。とは言え、この駅に通ずるは国道から外れた道である。そしてその道は・・・
実はこの備中神代の次に訪問予定の布原へと続いている。当然ながらこの布原も超訪問してみたい駅のひとつであるが、グーグルマップなどでの事前調査で得た情報を見る限り、かなり危険と判断していた。更に現地に着いてみて、季節的に初夏という事も加味され、道脇の山肌には新緑の草木が自慢げに自身の成長を誇示していた。そんな草木に幅員を調整されてしまった道路は軽自動車でもギリギリの空間になっていてとても太刀打ち出来る状態ではなかった。ナビによると5分くらいで到着できるらしいが、とても前に進める状態ではない。強引に前に進もうとしたが、行きがあるという事は帰りもある。布原から新見に向かうには一旦備中神代まで再び戻らなければいけないらしい。内名に続きここ布原も断念・・・私にとって精神的に辛い旅となってしまった。
子供の頃から思い入れのある駅に列車以外で初めて訪問したというのに、私の頭の中はこの時布原の件で90%以上を占めてしまった。再び訪問するチャンスができたら、次回はしっかりと布原もチャレンジしてみたい。というか、通常の利用でない、いわゆる観光的な要素でこの駅を目当てに来る人って果たしているのであろうか・・・って、その張本人が私だったりして・・・

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芸備線讃歌⑮ 野馳
2017-03-20

実はこの野馳に来る前に内名への訪問予定であった。が・・・道中で大規模な草刈が行われていた!道一面が刈られた草木で覆い尽くされている。というか、通行止めになっているわけでもないのだが、前に進めない。係員の一名が「どちらまで?」と歩み寄ってきたので野馳駅へ向かう意向を伝えると「どうぞ」と通行の許可を得た。だが、それこそ緑一面の道路にはアスファルトのグレーを見つけることが出来ない。それどころか鋭利な枝がむき出しとなっている。レンタカー・・・というシチュエーションを考えるとこのまま強引に前へ進むのは危険行為かも知れない。私は「引き下がる勇気」を選択した。秘境駅として名高い内名を目の前にして、その場所に足跡さえ残す事ができなかった。だが、ある意味こうした勇気も必要と自身に言い聞かせ、次の訪問予定の野馳へ向かった。
その野馳であるが、当然ながら事前情報と前回の訪問で素晴らしい木造駅舎がある事は知っていた。前回の訪問時にはその駅舎をただ指をくわえながら眺めるに過ぎなかったが・・・今回の訪問では独占!かつてジャイアント馬場が、いや、正確にはターザン山本が「みんなが格闘技に走るので、私、プロレスを独占します!」みたいなキャッチフレーズを流行らせたが、まさに今回の訪問では野馳を独占してしまった!

どぉ~ですか、お客さん!この絵に書いたような素敵な駅舎をご覧になって何を感じるであろうか。いや、何かを感じなければならない何かが潜んでいる!


そして駅舎内へ。風光明媚とはこういうことを言うのであろう。





前回、そして前々回の訪問時では全く気付かなかったが、なんと交換設備の残骸が!いかにかつて芸備線が重要な路線であった事が伺えるか、という事であろう。
ちょっと変な話をするが、私も後2年くらいで半世紀生きる事になる。という事も影響しているのであろうか、最近になって自身の「時間」を考えるようになった。かつてジャイアント馬場が試合前の練習で日本武道館の天井を見上げ「俺はあと何年この天井を見ることが出来るのかなぁ」的な事を晩年にはいつも考えていたらしい。そんな気持ちが私にもちょっとであるがわかるようになってきた。特に持病とかある訳ではないが、というより認めたくないが、自身の衰えを認めなきゃいけない部分も少なからずある。こうしてPCに向かっている時や、スマホを長時間使用している時などは特に目が疲れやすくなっている。
それこそ、あと何年こうした旅が出来るのが・・・
というか、正直言ってここだけの話であるが、私自身最近になってややおセンチになる出来事があった。公開する事は出来ないが、精神的に医療機関にもお世話になるほどの出来事であった。若い時ならまだしも、ある程度の年齢になってからの出来事はある意味逃げ場がない。そんな時にジャイアント馬場のコメントが気になり出す。そして私に人生のいろはを教えてくれた「矢沢永吉」の言葉が勇気づける。
これって鉄道ブログで述べる事ではないが、逆にこういうブログがあっても私はいいと思う。というか、なぜこの「野馳」でこんな事を綴っているのか私自身分からないが、恐らく私の人生は「レール」というひとつのカテゴリーに縋りながらこれまでやって来れたのであろう。レールに触れなかった時期が20年以上あるが、その期間は「プロレス」「音楽」などのジャンルに興味を持った。そしてレールにリターンした時に、レールから離れた期間は決して無駄な時間ではなかったと今でも感じる事が出来る。そして空白があったからこそのレールに対しての見方も出来る。
正直言って、おセンチから抜け出すにはもう少し時間がかかりそうだが、私にはこうした「味方」が今でもいるだけ心強い。いつかそれが「いい思い出」として受け入れられる自分に早く会ってみたい。そんな思いを抱きながら芸備線の旅、いや、芸備線の旅紹介はまだまだ続いていく・・・

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芸備線讃歌⑭ 小奴可
2017-03-15

実に厳しい寂れっぷりであった・・・
かつては列車交換ができ、私の中ではキラッと光る雰囲気を感じる駅であった。実際に小奴可を目の当たりにしたのは1982年3月であるが、下車はできなくともその雰囲気は車内から十分に伝わってきた。中学生の私を興奮させてしまう駅・・・というか、中学生の時点でこういった駅を得意とするようになっている自分が何か恐ろしさみたいなものを感じてしまうが・・・
ある意味この駅は私の得意とする「地味駅」の印象が強いかも知れないが、かつてはれっきとした「急行停車駅」でもあった。
ご覧の通り、駅舎は我々が最も好むであろう面構えであるが、現在は公式上では簡易委託駅となっている。だが実際は駅舎内は棒タクシー会社の事務所になっており、恐らく事務員的な従業員がタイミングが合えばJR券を販売する的なシステムであろうと思う。
だがこうして今でもその建家が残っているだけでも正直嬉しい。だが、私の知っている国鉄時代の利用者は400人前後であったが、現在は1人との報告もある。厳しい現実の中、果たしていつまで営業できるのか・・・みたいな思いもあるが、それこそ西で新たに導入される豪華列車でも芸備線内を走らせていただくと実に雰囲気が出ていいとは思いませんか?

超レトロ感たっぷりの小奴可駅舎。ある意味貴重な部類になるのかも知れないが、現在の公式上は簡易委託駅。だが、私の訪問時は駅舎内は無人で、それこそ「フリーパス」で駅に入場できた。





一目見てかつての名残が確認できる。そう、芸備線はかつて列車交換できる駅の宝庫であった。それだけの「位置」にいたのであろうが、現在はその面影も無く、単なる「ローカル」に転落してしまった。

色こそ褪せてしまったが、かつては立派な急行停車駅でもあった。私的には芸備線ではお気に入りの駅のひとつであるのだが、棒線化されてしまったのが一番残念である。

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芸備線讃歌⑬ 道後山
2017-03-10

早速であるが、道後山と言えば2010年に芸備線に乗車時、道後山にてあの「秘境駅訪問家」と遭遇した事を思い出す。そして後に本人確認のためメールを送信したら、なんと返信があったから驚いた。よほどの事がない限り返信などしてもらえないのであろうが、それこそよほどの事であったのか、大変に貴重なメールとなってしまった。
そんな道後山との初遭遇は備後落合と同じく1982年3月であった。当時から交換設備は外され旧ホームが健在であったが、2016年に訪問時にもその風景にほとんど変化は無かった。ただ、経営的に利用者的に、この役30年の間に実に大きな変化があったと思う。ちなみにちょっとウィキを開いてみたら、スキー場がかつて付近にあった事と利用者が全くない事が記されていた。
確かにこの駅に来るには国道から外れやや山道を走る、いわゆる「秘境駅」となるが、意外にも民家が付近にある。だが、駅に人影を見つけにくい現在、当然ながら経営者的には閉鎖したい胸の内であろう雰囲気がダイレクトに感じてくる。とは言え、メンテナスに手を抜いているというわけでもなく、しっかりと利用者をお迎えする準備は万端だし、それこそ駅舎に併設する「消防団」の車庫もちゃんと準備は万端だ。


道後山駅舎。ご覧の通り消防団の車庫があるのがひと目でわかる。一応付近に民家はあるが、実際に住んでいるかどうかは謎的な部分が多い。

駅舎内は普通に昭和的風景。もちろん左側の部分にはかつて駅員がいた名残を感じるが、完全に閉ざされてしまった現在、乗客を迎える職員を配置するのは不可能となってしまった。

利用者はほとんどいなくなってしまった現在でもしっかりとメンテナンスは施されている。というか、外見上、かなり職員がいそうな雰囲気が・・・




そしてホームへ挑む。秘境駅度が十分に伝わって来るが、冒頭の駅名標写真のバックをご覧いただくとわかるが、一応付近に民家の建家は存在する。というより、かつてはそれなりの賑わいを見せていた事であろうが、面影がやや薄い・・・

以前に紹介したが、改めて。1982年3月訪問時の道後山。バックの建家に注目して欲しい。というか、現在はこの建家はなくなってすっきりしてしまっている。

そして2010年に遭遇した「秘境駅訪問家」。この秘境駅訪問家は、道後駅において実にのびのびと取材をしていた。私の乗った列車が到着するなり、乗客に向かって何やらいろいろなサインや挨拶を送っていた。というか、知らない人が見たらこの訪問家の行動をどう思うであろうか・・・、いや、実際に知らない人が多かった私の乗ったDCであった。

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芸備線讃歌⑫ 備後落合
2017-03-05

芸備線の駅としてこの駅を紹介するのは何とも実に新鮮な気持ちである。レールファンの間では言わずと知れた駅であろう。一般的知名度との差が激しいとの予想であるが、この駅と私の初遭遇は、何度もこのブログで紹介しているが1982年の3月である。当時はまだ駅員がいて、私もこの駅員にはかなりお世話になった記憶である。名物「おでんそば」こそ無かったが、CTC導入前ということもあり駅員がいるだけでも活気の面で現在との異なりが大きい。
さて、この駅はレールファンには周知の通り、秘境駅的ジャンクションとして名高い。今回の私の訪問はレンタカーであったが、やはり車でこの駅にたどり着こうなら、基本カーナビがないとたどり着くことが困難であろう。というか、こんな場所に駅があってはならない・・・とは言わないが、経営側の立場になった場合、非常に辛い景色となる。
駅は、一般道より駅へ続く専用の道路をやや登ると到着する。その道は駅で完全な行き止まりとなるが、駅前にはなんと民家が一軒!こんな事ブログで公開していいかどうか分からないが、よほど治安がいいのか、私の訪問時は初夏であったが、空調を人工的に任せず、自然のナチュラルな形で調整していた・・・というか、かりそめにも「駅前」であるのだが・・・

この駅には何度か来ているが、駅舎外観を見るのは初めて。そして列車以外での訪問ももちろん初めて。

駅前には即一軒!駅前一等地に在住とは、実に便がいい。



芸備線の駅として、そして木次線の駅として・・・かつて駅員がいたと思われる場所は固く閉ざされていた。


早速ホームへ。駅舎に接する1番線は木次線が使用。そしてもうひとつの島式ホームは芸備線が使用。かつては真夜中に夜行急行「ちどり」が停車していた。若いレールファンは信じられないであろうが、なんと木次線経由!











駅設備、その他細かい部分は若干の変更はあるものの、全体的にはほとんど昔のままだ。ただ、内容的には利用者や列車本数が減った事で経営的内容がかなり変わった事であろう。というより、将来的に永遠の存在であろう可能性は下がる一方だ。


そして大きく変わった事と言えば国鉄⇒JRと、経営組織そのものが変わった事であろう。
初夏の備後落合は何気に懐かしさを感じさせてくれた。列車本数が段々フェイドアウトしていく中、近い将来、芸備線自体がフェイドアウトして行ってしまうかも知れない。かつて、国鉄時代に「赤字ローカル線」と呼ばれていた全国各地にあった、廃止された鉄道路線の内容に、現在現役である「ローカル線」と呼ばれる鉄道路線の経営内容と類似しているかそれ以下の経営内容となってしまった。芸備線もその例に漏れないであろう。現代社会において、その事実が「当たり前」となってしまった現在の鉄道の位置。そんな鉄道を私たちレールファンが愛して止まないのはなぜだろう・・・

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