国境の長いトンネルを抜けると、そこは「ぐんまちゃん」だった。上越編⑤ 土合(後編)
2023-09-16

さて、今回は土合の下りホームへのアプローチとなる。東京方面からの場合には土合は群馬県最後の駅となるが、長野県側から来る場合は群馬県に入って最初の駅となる。
下りホームは新清水トンネル内にあるのは既に先告ご承知の通りであるが、真夏の炎天下での参戦となればこの特殊な構造はかなりの恩恵を受ける事であろうとかなりの期待が持てる。




駅舎よりちょっとした通路を通り、いよいよ462段へと向かう。まるでジェットコースターが一気に加速する前に登る坂道の如く、前置きが少々長い。
だが、実際はちがった。実は土合に来る前に湯檜曽へ寄ったが、トンネル内の下りホームは通路に入った瞬間に物凄い冷気を感じ、天然クーラーが効いているイメージであったが、土合の場合はホームへ繋がる階段ではむしろ湿度が高く湿気ているイメージが強い。そのため冷気をさほど感じることができずホームへのアプローチにやや負担がかかってしまった。それでも駅舎から下りホームへは下り階段のためさほど体力を使わないが、下りホームから駅舎へ伝う場合は上り階段となるためスタミナのロスが大きい。私はそれを覚悟の上、下りホームへと向かった。




「人生は振り返らずに前進あるのみ!」とは言うものの、時には振り返るのも必要だ。私は下り階段で下りホームへ向かう際に何度も振り返って撮影していた。ご覧の通りシーズンともありギャラリー多数!
同伴の妻は駅舎で待ってもらい、私は人生で2度目となる土合下りホームへの階段を下り始めた。先述通りギャラリー多数・満員御礼であるが、すれ違う登り階段ギャラリーは皆全て疲労の表情を隠せずにいた・・・とにかくギャラリーが多いため、なんとなく四国88ヶ所巡りかなと錯覚を起こしてしまいそうな感じであった。いや、軽装備による登山であるならむしろこの土合の方が都合がいいのではないか。かつて首都圏某所にあった人工雪スキー場「ザウ○」のような感覚で、気軽に列車で訪れ登山ができる。これは素晴らしい事だ。
そして登山に疲れたら、駅舎内には喫茶店、そして駅前にはドライブインなどの飲食店があり、何かと重宝する。まさに、私が今回訪問したタイミングは「18」のシーズンだったため、そうしたギャラリーも多かったはずだ。


階段は5段ずつで区切られているので何段登ったかがわかりやすいのだが、その分歩数も多くなり462段以上の歩数が必要になってくる。
さて、今回は下りホームの紹介だが、先述通り待避線側にあったホームが本線上に新設され待避線側のホームは使用できなくなった。つまり待避線が撤去された事を意味するが、旧ホームはまだ残っており、かつての土合を感じることができる。ただ、WCは閉鎖されたため、用を足したい方は駅舎まで移動しなければならない。場合によってはある種の試練かも知れないが、基本、経営者側は極力経費や維持費を押さえたいわけだからいざ仕方ない事であろう。
ところで、下りホームからの帰り道の事である。下ってきた462段の階段を、今度は登らなければならない。その階段を登っていて気がついたのだが、先述通り、駅舎へと繋がる長い階段は5段ずつ区切られて一旦階段がなくなる。つまり5段登ったら2~3歩歩いてまた5段を登るというパターンの繰り返しとなるわけだ。要するに、帰りの登り階段は必要以上にスタミナをロスする。あの「無尽蔵のスタミナ」といわれたジャンボ鶴田もこの登り階段を見たら唖然とするであろう。階段を見上げるとゴールは遥か彼方にある。460段越えの階段に対しこのパターンを何回繰り返せばいいのか・・・計算したら気が遠くなった。







ようやくホームへ到着した。ご覧の通り、待避線のあった場所にホームが新たに作られ本線と接する形になった。つまり列車待避が必要なくなった、又は待避しなくてもいいようにダイヤを整理した結果を表わす象徴と言えるであろう。新たに設置されたホームは短編成での対応のみ可能となったが、トンネル内のホームであるという特徴的な独特ムードは昔も今も変わらない!
200段目に近づいた頃であった。ホームに列車が通過又は到着したらしく、ホーム側から一気に強り風圧がこみ上げ辺り一帯が白く曇りだした。強烈な風圧だったので恐らく貨物列車の通過であったと思われるが、その風圧によりトンネル内の冷たい空気が押し上げられ階段の暖かい空気と融合し、水蒸気が冷却された結果だと思われる。確かに、ホームへ繋がる通路は猛暑の余韻を感じていたが、ホームに到着する2~3段前くらいの階段の位置からは空気が冷たくなり、天然の冷房感を感じた。つまりホームと階段にはかなりの温度差があったわけだ。そこへ貨物列車の通過があり上下の空気が混ざり合ったわけである。
確かに、下りホームへ繋がる階段はかなりの湿気を感じたのは先述通りであるが、こうした化学反応(とはオーバーかもしれないが)が見られるのもこうした構造ならではである。
何れにしても、現世まで生き残っているのは奇跡としか思えないこの土合の風景は来世にも同じ姿で末長く残っていただきたいものである。

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コメント
これらの方々は鉄道利用者ではなく、駅の見学者ですか???
にわか者様
コメントありがとうございます。
そうなんですよ!被写体の方々は9割9分9厘9毛マイカーや18きっぷで来られたであろうギャラリーでした。
恐らく夏休み中はこのような景色がずっと続いていたと思われます。
純粋にこの駅を観光目的以外の鉄道利用する利用者は、駅前のドライブイン関係の従業員か登山者であろうと思われますが、私の訪問した時間帯は完全に観光地化していました。公開した写真はそれほど多くないギャラリー数に見えますが、実際にはご覧の3倍以上のギャラリーがいらっしゃいました。
皆さん、この猛暑の中、よくぞこの地に降り立ったと思います、って自身もその中の一部を構成させていただきましたが・・・
そうなんですよ!被写体の方々は9割9分9厘9毛マイカーや18きっぷで来られたであろうギャラリーでした。
恐らく夏休み中はこのような景色がずっと続いていたと思われます。
純粋にこの駅を観光目的以外の鉄道利用する利用者は、駅前のドライブイン関係の従業員か登山者であろうと思われますが、私の訪問した時間帯は完全に観光地化していました。公開した写真はそれほど多くないギャラリー数に見えますが、実際にはご覧の3倍以上のギャラリーがいらっしゃいました。
皆さん、この猛暑の中、よくぞこの地に降り立ったと思います、って自身もその中の一部を構成させていただきましたが・・・
我々が国鉄完乗を夢みた頃、駅にこれだけのギャラリーがいたのですかね?
鉄道や駅にも興味がなさそうなもいらっしゃったのでは?彼らは何にひかれて集まるんですかね?
ドクターイエローもT3までは、撮影に行ってもほぼ毎回誰もいない状態でした。
それがT4が登場してしばらくしたら…
今や平日でも老若男女が沿線でカメラを構えている…一体何がどうして、こんなに人気がでてしまったのでしょうか…
鉄道や駅にも興味がなさそうなもいらっしゃったのでは?彼らは何にひかれて集まるんですかね?
ドクターイエローもT3までは、撮影に行ってもほぼ毎回誰もいない状態でした。
それがT4が登場してしばらくしたら…
今や平日でも老若男女が沿線でカメラを構えている…一体何がどうして、こんなに人気がでてしまったのでしょうか…
にわか者様
コメントありがとうございます。
湯檜曽や土樽とは別格にギャラリー多数の土合でしたが、これだけのギャラリーがいらっしゃるのには恐らく時代背景があると思われます。
国鉄時代は、言わばレールファンの「特許」的存在に近かったと思われますが、現在では「インスタ映え」等に象徴されるように、一般の方には新鮮なのかも知れませんね。
我々はもう「生まれた時から」という表現はおかしいかも知れませんが、少年時代からこうした駅の存在を知っていたのでごく自然に受け入れることができますが、現在ではSNSなどで鉄道に興味無い方でも偶然発見してしまう事もあると思われるので、そうしたギャラリーが増えてきたという事でしょう。
恐らくインスタ映えスポット的な感覚での訪問者が不特定多数いらっしゃるはずですが、ドクターイエローなどもそうした現象のひとつと思われますね。という事は、鉄道写真を撮影している方が必ずしも鉄道ファンであるとは限らない現在の中、我々レールファンはモラルやマナーなど、彼ら・彼女らの見本になるような行動をしなければなりませんね。
逆に土樽は私のような「もの好き」と純粋な登山者の訪問者がほぼシェアしていると思われますので、もちろんこうした場所でも、というよりどの場所においてもマナーやルールを守りながら行動したいですね。
更に、近年ではこうした場所に女性の姿がかなり増えてきていますよね。国鉄時代においての我々にはそうした現象があまり考えられなかったと思われますが・・・
湯檜曽や土樽とは別格にギャラリー多数の土合でしたが、これだけのギャラリーがいらっしゃるのには恐らく時代背景があると思われます。
国鉄時代は、言わばレールファンの「特許」的存在に近かったと思われますが、現在では「インスタ映え」等に象徴されるように、一般の方には新鮮なのかも知れませんね。
我々はもう「生まれた時から」という表現はおかしいかも知れませんが、少年時代からこうした駅の存在を知っていたのでごく自然に受け入れることができますが、現在ではSNSなどで鉄道に興味無い方でも偶然発見してしまう事もあると思われるので、そうしたギャラリーが増えてきたという事でしょう。
恐らくインスタ映えスポット的な感覚での訪問者が不特定多数いらっしゃるはずですが、ドクターイエローなどもそうした現象のひとつと思われますね。という事は、鉄道写真を撮影している方が必ずしも鉄道ファンであるとは限らない現在の中、我々レールファンはモラルやマナーなど、彼ら・彼女らの見本になるような行動をしなければなりませんね。
逆に土樽は私のような「もの好き」と純粋な登山者の訪問者がほぼシェアしていると思われますので、もちろんこうした場所でも、というよりどの場所においてもマナーやルールを守りながら行動したいですね。
更に、近年ではこうした場所に女性の姿がかなり増えてきていますよね。国鉄時代においての我々にはそうした現象があまり考えられなかったと思われますが・・・
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