城北線の素顔
2013-04-22
城北線とは?と問われて、どう返せばいいのであろう・・・「名古屋城の北側を走る鉄道」と説明すればお分かりであろうか?かなり拡大解釈の「北側」であるが、やはり鉄道愛好家と関係者以外は一般的ではない知名度であろう。
一応「一般的」な方にもわかっていただくために説明させていただくと、愛知県にある鉄道であり、中央線「勝川」から東海道線「枇杷島」を結ぶ全長11.2kmの非電化・複線の路線である。非電化であるが「複線」であるのがとても気になる。新しい鉄道愛好家の方は実感としてあまりピンと来ないであろうが、かつては改正鉄道敷設法に「愛知県岡崎ヨリ挙母ヲ経テ岐阜県多治見ニ至ル鉄道」という計画があった。つまり国鉄時代の「岡多線」、現在の「愛知環状鉄道」である。これに目をつけた国鉄は「愛知県瀬戸ヨリ稲沢ニ至ル鉄道」を計画。名称は「瀬戸線」、つまり現在の「城北線」の原型となる計画だ。この岡多線と瀬戸線を繋げ、貨物専用路線にしようと考えたのだ。

(勝川駅で発車を待つ城北線DC)
その昔、所謂旅客ターミナルに貨物列車を通過させるということは、増え続ける貨物を効率よく運用するのには限界があったようで、貨物列車用の別線を建設し名古屋駅を通らせない「バイパス」として機能させるべく、この城北線が提案されたのだ。イメージ的には「武蔵野線」や「京葉線」と思えばいいかもしれないが、現在の城北線の姿を見ると、とても「京葉線」のイメージとは程遠い。とはいっても現在、武蔵野線などは「貨物主体」の設計のため、旅客に転用するには使い勝手が悪いイメージだ。特に「府中本町」は典型的な例といっていいであろう。
という歴史の中、国鉄再建法により建設が中断したが、JR東海が「瀬戸線」を受け継いだ。詳しい歴史についてはこちらを参考していただくとしよう。
さて、私は2010年4月、城北線を「旅客」として乗りに来た。会社名は「東海交通事業」。JR東海の子会社だ。設備をJR東海が保有し、列車運行を東海交通事業が運営する。なんだか複雑であるが、乗車するにも複雑だ。私は勝川から乗車したのだが、中央線の勝川からかなり歩かされた。その距離約500m!なんでこのような距離があるのかというと、開業当時、中央線・勝川駅は地上駅であったが、高架化事業が決定し完成後に城北線統合する予定であった。そのため中央線の駅に乗り入れることができず、高架完成を待つ事となった。そして2009年に完成したが、城北線はまだ中央線の方に移設される気配はない・・・という経緯で、いずれは統合されるであろうが・・・

(勝川駅では高架橋が途切れている。まもなく中央線の勝川駅と統合予定であるが・・・)
階段を登り高架上のホームに行く。駅員は居らず、車内で運賃を精算する「ワンマン列車」だ。おりしも私の乗車した時間は朝の通勤ラッシュ時間帯であるが、完全に別世界の異空間と化した「交通事業」である。それもそのはず、先述した「貨物主体」で設計されたため、沿線は人口希薄地帯を通るのだ。と言っても中京地区の中心部に近いためそれなりの利用はあると思われるのであるが・・・DCの単行で間に合ってしまう程の輸送量である。

(JR東海を思わせる勝川駅の駅名表)
一応、JR東海の系列会社とあって、駅名表もそれっぽい。だから思わず「青春18」でも利用できそうであるが、残念ながら「別料金」だ。
沿線風景はといえば、高速道路にピッタリとくっついて敷設されているため、高速道路の観測には大変重宝する。高速道路と反対側といえば、中京地区中心近郊というのに田園風景がいくつも眺められる。しかも全線高架のため眺めがいい。更に「フレートライナー」が高速走行する設計のため、乗り心地はとても悪くない!全線複線化されているが、すれ違った列車の記憶が無い位のダイヤ設定のため、景色をじっくり堪能できる。
一応「小田井」では地下鉄や名鉄に乗り換える事ができるみたいだが「できるみたい」と表現してしまうほど接続駅としての印象は薄い。
やがて終点の枇杷島に着くが、こちらは貨物専用の線路上にホームが設置されており、歴史の名残がうかがえるが、東海道線のホームとは跨線橋で結ばれていて乗換えに便利である。さすがはグループ同士、グループとしての威力を充分発揮している様に感じる。

(枇杷島駅に到着した「TKJ」。)
元の計画では稲沢に接続する事になっていたが、名古屋方面に直通することを考えて枇杷島に変更されたらしい。しかし本当に本来の目的で使用される日は果たして来るのか?この「過剰」ともいえる設備を活かせる時は来るのか?歴史を知らないととても複雑な気持ちになる「TKJ」は、歴史を知っていても複雑な心境だ。

にほんブログ村

にほんブログ村

にほんブログ村
一応「一般的」な方にもわかっていただくために説明させていただくと、愛知県にある鉄道であり、中央線「勝川」から東海道線「枇杷島」を結ぶ全長11.2kmの非電化・複線の路線である。非電化であるが「複線」であるのがとても気になる。新しい鉄道愛好家の方は実感としてあまりピンと来ないであろうが、かつては改正鉄道敷設法に「愛知県岡崎ヨリ挙母ヲ経テ岐阜県多治見ニ至ル鉄道」という計画があった。つまり国鉄時代の「岡多線」、現在の「愛知環状鉄道」である。これに目をつけた国鉄は「愛知県瀬戸ヨリ稲沢ニ至ル鉄道」を計画。名称は「瀬戸線」、つまり現在の「城北線」の原型となる計画だ。この岡多線と瀬戸線を繋げ、貨物専用路線にしようと考えたのだ。

(勝川駅で発車を待つ城北線DC)
その昔、所謂旅客ターミナルに貨物列車を通過させるということは、増え続ける貨物を効率よく運用するのには限界があったようで、貨物列車用の別線を建設し名古屋駅を通らせない「バイパス」として機能させるべく、この城北線が提案されたのだ。イメージ的には「武蔵野線」や「京葉線」と思えばいいかもしれないが、現在の城北線の姿を見ると、とても「京葉線」のイメージとは程遠い。とはいっても現在、武蔵野線などは「貨物主体」の設計のため、旅客に転用するには使い勝手が悪いイメージだ。特に「府中本町」は典型的な例といっていいであろう。
という歴史の中、国鉄再建法により建設が中断したが、JR東海が「瀬戸線」を受け継いだ。詳しい歴史についてはこちらを参考していただくとしよう。
さて、私は2010年4月、城北線を「旅客」として乗りに来た。会社名は「東海交通事業」。JR東海の子会社だ。設備をJR東海が保有し、列車運行を東海交通事業が運営する。なんだか複雑であるが、乗車するにも複雑だ。私は勝川から乗車したのだが、中央線の勝川からかなり歩かされた。その距離約500m!なんでこのような距離があるのかというと、開業当時、中央線・勝川駅は地上駅であったが、高架化事業が決定し完成後に城北線統合する予定であった。そのため中央線の駅に乗り入れることができず、高架完成を待つ事となった。そして2009年に完成したが、城北線はまだ中央線の方に移設される気配はない・・・という経緯で、いずれは統合されるであろうが・・・

(勝川駅では高架橋が途切れている。まもなく中央線の勝川駅と統合予定であるが・・・)
階段を登り高架上のホームに行く。駅員は居らず、車内で運賃を精算する「ワンマン列車」だ。おりしも私の乗車した時間は朝の通勤ラッシュ時間帯であるが、完全に別世界の異空間と化した「交通事業」である。それもそのはず、先述した「貨物主体」で設計されたため、沿線は人口希薄地帯を通るのだ。と言っても中京地区の中心部に近いためそれなりの利用はあると思われるのであるが・・・DCの単行で間に合ってしまう程の輸送量である。

(JR東海を思わせる勝川駅の駅名表)
一応、JR東海の系列会社とあって、駅名表もそれっぽい。だから思わず「青春18」でも利用できそうであるが、残念ながら「別料金」だ。
沿線風景はといえば、高速道路にピッタリとくっついて敷設されているため、高速道路の観測には大変重宝する。高速道路と反対側といえば、中京地区中心近郊というのに田園風景がいくつも眺められる。しかも全線高架のため眺めがいい。更に「フレートライナー」が高速走行する設計のため、乗り心地はとても悪くない!全線複線化されているが、すれ違った列車の記憶が無い位のダイヤ設定のため、景色をじっくり堪能できる。
一応「小田井」では地下鉄や名鉄に乗り換える事ができるみたいだが「できるみたい」と表現してしまうほど接続駅としての印象は薄い。
やがて終点の枇杷島に着くが、こちらは貨物専用の線路上にホームが設置されており、歴史の名残がうかがえるが、東海道線のホームとは跨線橋で結ばれていて乗換えに便利である。さすがはグループ同士、グループとしての威力を充分発揮している様に感じる。

(枇杷島駅に到着した「TKJ」。)
元の計画では稲沢に接続する事になっていたが、名古屋方面に直通することを考えて枇杷島に変更されたらしい。しかし本当に本来の目的で使用される日は果たして来るのか?この「過剰」ともいえる設備を活かせる時は来るのか?歴史を知らないととても複雑な気持ちになる「TKJ」は、歴史を知っていても複雑な心境だ。

にほんブログ村

にほんブログ村

にほんブログ村
スポンサーサイト
コメント
城北線、何とも不思議な路線だなあと思っていましたが、「瀬戸線」の一部だったんですか。岡多線は何とか三セクながら開通しましたが、こちらはどうなんでしょうね…。
あいあんさいど様
コメントありがとうございます。
城北線、かなり重厚な設備で勝川がつながれば今にも「フレートライナー」を走らせてもOKなくらい「バリバリ」です。
複線区間に単行とは、何ともミスマッチでしたが、ハッキリ言って「経営陣」も運転すること自体つらいでしょう。起点・終点が勝川はともかく、稲沢か枇杷島では微妙なところですね。
城北線、かなり重厚な設備で勝川がつながれば今にも「フレートライナー」を走らせてもOKなくらい「バリバリ」です。
複線区間に単行とは、何ともミスマッチでしたが、ハッキリ言って「経営陣」も運転すること自体つらいでしょう。起点・終点が勝川はともかく、稲沢か枇杷島では微妙なところですね。
コメントの投稿
トラックバック
この記事へのトラックバックURL
http://4190koawazay.blog.fc2.com/tb.php/160-f062a023