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鉄道全線完全制覇の旅

昭和から平成へ・・・全線制覇の旅紀行!

姿なき挑戦者④ 急行「伊豆」

「伊豆の踊子」と言えば川端康成の代表作である事は私が説明するまでもなく周知の事実であるが、かつて国鉄が東京~伊豆方面への優等列車に夢を抱き期待を込めて付けられた愛称が「踊り子」である。現在ではすっかり定着しているが、登場当初はデビューしたばかりの185系で運用された。しかし私は185系が特急としての運用ではどうも馴染めず、風格というか、何か特急としては物足りなさを感じていた。しかし普通列車での運用となると話は別である。日曜日の朝、5時50分発の始発で寒川から相模線に乗り茅ヶ崎で東海道線に乗り換える。あの長い跨線橋を3分で乗り換えなければならないというプレッシャーから若干ダッシュ気味に走るとすぐに6時2分の東京行がやってくる。その列車が185系で運用されているのだ。休日ということもあって乗客は僅少で、私のような「鉄道研究クラブ」というクラブ活動集団が乗車すれば、その車両はすぐに「専用」となってしまう。
当時の185系は転換クロスシートで特急としてはあまり向いてない印象だったが、初めて見る転換クロスシートにいささか感激を覚えた。

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(153系湘南色の急行「伊豆」。私の思い出史に残る列車だ。画像はウィキから転用。)

特急「踊り子」となる前は、特急「あまぎ」と急行「伊豆」が伊豆方面への需要を支えていたが、「踊り子」一本に統一された。そんな時代の流れの中で、急行「伊豆」は、私にとっては初めて乗車した急行列車(だと思う)である。湘南色の153系で運用されていた列車に、私は伊豆の下田まで乗車したのは1977年夏、小学3年の時であった。ところでなぜ行先が下田なのか?理由は簡単だ。なぜなら下田に親戚がいるためである。伊豆急下田の駅前で小さなクリーニング店を経営しているが、私の場合の伊豆はどうしても「観光」にはならない。小さい時から散々車で親戚宅に行っていたので「観光」の気分にはどうしてもなれず、親戚宅訪問の印象がとても強い。
153系のみならず、確か155系でも運用されていた事がわずかに記憶にあった。単に薄い記憶に過ぎなかったため事実関係が不安であったが、ウィキで確認したら確信に変わった。臨時ながらあの「修学旅行カラー」で運用されていた事がわかったのだ。

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(伊豆急下田に停車中の155系。修学旅行専用列車として運用されていたが、多客期には臨時の「伊豆」で運用されていた。画像はミックスマテリアル様提供。)

やはり一度は155系に乗車してみたかったが・・・私の「伊豆」は153系であった。私は当時寒川町在住であったため相模線で茅ヶ崎に出てから東海道線に乗り小田原まで出た。そして小田原から急行「伊豆」に乗り換え下田に向かった。とりあえず両親は後で親戚宅にて合流することとして小学3年生の少年が夏休みを利用して一人で乗った列車だ。既にこの頃は東京の親戚などにも一人で行けるまでに成長。だが他の友人とかに聞くと、この一人での行動は「ありえない」らしい。まず親が許さないいとか、どの列車に乗っていいのかわからないとかいろいろだが、私は自然に、普通に行動しているだけなのだ。小学2年生くらいには熱海より西に行きたい思いから「静岡」まで行ったり、小田急のNSE乗りに行ったりと、今考えてみたらずいぶんと行動派の小学生であったと思う。まぁ、「静岡」を選ぶあたりが渋すぎやしないかと心配する部分もあるが、当時の静岡駅はちょうど高架化の最中で、上りまたは下りのどちらかがまだ地上駅であった記憶がある。工事中の静岡駅など、かなり貴重な体験であろう。

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(伊豆急下田駅に停車中の159系。正面ライトの位置が155系と若干違う。画像はミックスマテリアル様提供。)

さて、小田原を出た私は勇んで伊豆急下田に向かう。下田駅に着いたら親戚宅に電話して迎えに来てもらうこととなっているが、なんてったって小学生。何もかもが新鮮に映る。確か茅ヶ崎のキヨスクで買った冷凍みかんをほおばりながら、消えては現る海原の輝きを眺めていた(ところで現在キヨスクで冷凍みかんは売っているのであろうか?)。昔の列車は窓を開閉できたので、窓枠の洗濯ばさみみたいな部分をつまみながら窓を開ける。心地よい潮風が頬を伝う夏の伊豆半島を初めて乗る急行列車の車内で胸高鳴る無邪気な少年など、我ながらに可愛いではないか!
伊豆高原には伊豆急の車庫があり若干ながら私の目を楽しませてくれたが、何せ初めて一人で乗る急行列車に、何か誇らしげで再び冷凍みかんを頬張る。なにかすっかり冷凍みかん三昧となってしまったが、下田に着く頃には何か降りるのが惜しい印象を覚えている。皆様も一度は体験しているであろうが、このときは特に「後ろ髪引かれ隊」であった。

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(185系も登場してかなりの年月が経つ。そろそろ世代交代の時期でもあろう。画像はウィキから転用。)

「踊り子」は、停車駅的に考えて急行「伊豆」の格上げであろう。後年に現れた「スーパービュー」は、完全に「あまぎ」の後を継ぎグレードアップに成功した。進化していくということは嬉しい限りだが「昔ながら」がなくなってしまうのも寂しいものだ。人それぞれ、何か「あるもの」「懐かしいもの」を見つけると、その時代の背景や自身の生き様が投影されるものだ。私の場合は、今回たまたま急行「伊豆」であったが、その時代の背景や出来事など、忘れかけていた思いが甦る。ひとつの失われた列車であっても、こんなに純粋で無邪気であった昔の自分に出会えることができた。いや、急行「伊豆」を思い出すたび、いつでも昔の自分に再会することができるのかもしれない。私自身の晩年に、こういう「旅」をいくつも思い出す、そういう旅をこれからも続けて行きたい。

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コメント

153系、まさに伝説の名車というイメージです。世代的に。修学旅行の159系も、大昔、神田の交通博物館でレプリカを見たことしかありません(笑)。実際に乗ったとはそれこそ「踊り子」になってからの185だけですが、今となっては、おっしゃる通り、「世代交代」の時期が近付いている気はしますね…。

あいあんさいど様

コメントありがとうございます。
東海道線の場合、「伊豆」の他に静岡行の「東海」がいましたが、こちらは165系で、正面まで湘南色でした。あまりなじめず、私は153系の、側面で緑色が斜めになり正面はオレンジ色のみの車体にとても惹かれてました。リクライニングできない、普通列車と同じ固定式のボックスシートでしたが・・・実は私「踊り子」に乗った事がありません。もちろん185系は乗車したことが散々ありますが。
ところで「冷凍ミカン」てキオスク等にまだ売っているのでしょうか?多分無いと思いますが、非常に興味深いです。

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Author:ダイヤモンド✡トナカイ
✩2022年4月より毎週土曜日更新になります✩


昭和・国鉄の話題を中心に紹介しています。


2013年に長野新幹線の長野駅にて「いい旅チャレンジ20000km」よりスタートした国鉄時代の制覇を含めJR全線制覇を、そしてゆいレール以外の鉄道全線制覇を達成いたしました。


以降、北陸新幹線と北海道新幹線などの開業によりタイトルは返上しています。

JR以外の私鉄を含む鉄道未制覇路線は北陸新幹線(長野~金沢)・北海道新幹線・仙台地下鉄東西線・仙石東北ライン・富山地方鉄道延伸部分・ゆいレール・相鉄直通線(相鉄新横浜線)、そして新規開業の西九州新幹線や宇都宮に開業したライトレールも新たに加わりますます未制覇路線が増えてしまいました・・・

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