尾盛の逆襲!(リメイク版)後編

やがて出発時間となり、ディーゼルエンジンを響かせながら機関車は井川目指し、更にジャングルへと突入していった。箱根登山鉄道より物凄い山の中を縫う様にすり抜け、木々が車内に迫り来る中、レールの摩擦音を響かせながら「土本」に到着。沿線住民は4件ほどで、住民の名前がそのまま駅名に採用されるという物凄いエピソードがあるのだが、付近を通る車道が無いため、鉄道が唯一の交通手段だ。そのため、大井川鉄道の職員が、列車にて新聞配達を「兼業」するという、とんでもない「秘境」である!もともと大井川鉄道はダム建設の資材輸送手段の目的で敷設されたのだが、文字通り「長島ダム」という駅がある。列車から見下ろすダムの放水風景はダイナミック!手前のアプトいちしろで列車最後尾に補助のアプト式電気機関車を連結し「1000/90」という物凄い勾配を駆け上がっていく。つまり、1000メートル進んで90メートルの高さに到達するというとんでもない坂道である。当然、沿線に民家など皆無である!現在は車道も整備され、マイカーでも気軽にこれなくはないが、これほどの山奥、ハンドル操作にいささか疲れを覚えるのではないか・・・

大井川鉄道 045


そしていよいよ「尾盛」に到着した。乗客からの視線が一気に我々に向けられた。「なんでこんなところで降りるのか・・・」車掌にフリーきっぷを丁寧に見せてホーム(と言うよりも盛土か?)に足を一歩踏み入れた途端、完全に孤立感が肌に伝わってきた。車道からも離れ、駅に通じる道さえ存在しない、外界から完全に孤立し、鉄道以外の到達は完全に不可能である。いったい誰が何のためにこの駅を利用するのであろうか・・・そんなことより、とりあえず来た証として鉄道施設に向けシャッターを切りまくった。だが、行った季節が悪すぎたのか、やたらと蜂が威嚇してくるではないか!しかも駅名表の下には蛇の抜け殻が無造作に転がっている!完全に駅が自然の一部として機能してしまっているではないか・・・本来駅とは、多くの人が気軽に利用し、出会いや別れのドラマが数々生まれていく「営み」の場所ではないか?しかし、ここはそんな常識が完全に通用しないのだ。いわゆる「駅前一等地」に家らしき建物があった。勿論廃屋となっており、周囲も人の営みすら感じられない。いったい何のためにこの駅は存在するのであろう・・・そんな駅を喜んでやってくる我々も我々であるが、それを管理・運営している鉄道会社も異色である・・・一通り鉄道施設の撮影が終了すると、あとは完全にすることが無く、早く蜂の威嚇から開放されたい気持ちでいっぱいだ!真夏の太陽が照りつける中、やっと列車がやって来た。冷房設備など皆無だが、暑さを感じさせない。そして我々物好きは、次の「閑蔵」で下車。こちらも秘境駅レベルは高いが、駅前に一軒の民家がデーンと構えているのでそれほど孤立感は無い。

大井川鉄道 039


更に交換設備もあり、そして何と言っても蜂の威嚇が無いではないか!約30分安息の時間を取らせていただいた。そして次の列車の乗り終点井川に到着。大井川鉄道制覇の瞬間だ。ここで折り返し千頭に引き返す。そして千頭より「SL急行」に乗り金谷に戻る予定である。千頭までの列車では、やや睡眠不足のため仮眠を取ることとしたのだが、相方よりアルコール飲料提供希望の申し出があったため快く応対し、暫くすると相方は「コタツの中の猫」状態となり、座席1ボックスを占領し、いつしか夢の中へと突入していった。千頭に到着すると、先ほどの「そば屋」が営業していたため、SLの出発時間までの間しっかり堪能することとした。しかし、流石に「あたたか~い」を食する訳にも行かず「冷」を行きたいのだが「オロシそば」しかなく「オロシ」の不得手な私は仕方なく「冷おろしそばのオロシ抜きで」と注文したのだが、これって普通に「冷掛けそば」ではないかと思った。つまり「たぬきそばの揚げ玉抜きで」と注文してるのと同じ事だ。まぁ、深く考えずにその場は蕎麦をすするのに専念した。そしていよいよSLに乗車。いわゆる「旧型客車」で走っているのはここ、大井川鉄道のみであり昔の風情をそのまま再現したものだ。行きに見た景色も乗る列車によってこんなにも違うのかと関心してしまうくらいだ。私はSL世代ではないため、昔の風情を肌で感じる事が出来、非常に素晴らしい体験である。ただ、旧型客車は中学生時代に良く乗っていたためとても懐かし。そんな思いを胸に抱きながらのどを潤すアルコール入り清涼飲料水は、五臓六腑に染み渡る思いだ。

7月末日というのに冷房が無くても不便を感じないくらい心地良い車内は、煙の匂いと共に大井川のせせらぎを乗せたまま、間もなく終点の金谷に近付く頃、大きくカーブを描いたその鉄路の先に、金谷のホームが見え隠れする車窓を見つめながら、最後の一口を飲み干した。

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プロフィール

ダイヤモンド☆トナカイ

Author:ダイヤモンド☆トナカイ
所在地:神奈川県湘南地区

〇2013年6月11日、北陸新幹線長野駅にてJR全線制覇いたしました(当時)。
国内の鉄道は、沖縄の「ゆいレール」を残し全線制覇しました。(とは言うものの、2015年3月の北陸新幹線延伸によりJR全線制覇は「ベルト返上」しました)

★ ブログ記事の「リメイク版」は、以前にホームページで紹介した旅日記をブログでリメイクしたものです。


◎ブログの登場人物

★ ダイナミック☆トナカイ
・・・中学時代の後輩で、2013年に約30年振りに再会を果たした。数多くの写真を提供していただいた「盟友」でもある。

★ おさる・・・かつて私がバンド活動をしていた時のメンバーで、鉄道復活のきっかけを作ってくれた人物。彼とは「秘境駅」を数回訪問した「親友」でもある。

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