姿なき挑戦者⑭ L特急たざわ

田沢湖線といえば、現在は標準軌化され新幹線車両が乗り入れる重要なアクセス路線である。東北新幹線が開業した1982年に電化されL特急「たざわ」が誕生した。それまでの急行「たざわ」がそのまま格上げされた形となったが、DC急行が485系の特急に変身した姿は実に斬新であった。1996年に秋田新幹線になるまでの14年間であったが、考えてみればキハ58のDC急行から485系の「たざわ」を経て新幹線に変身する姿は、ある意味飛躍的なサクセス街道を真っしぐらに突き進んだ印象である。

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(私が「たざわ」と最初にコンタクトしたのは1983年8月の東北の旅の時である。盛岡を19時31分に出発する「たざわ」は、もちろん新幹線との接続も考慮されての発車時間となる。)

田沢湖線自体もこのL特急の運転開始と同時に急激な変化が起きていた。それは、例えば角館である。角館といえば「みちのくの小京都」として日本有数の観光地であるが、列車で訪問の際は上野からL特急「つばさ」や急行「つがる」などで奥羽本線経由で大曲に出て田沢湖線に乗り換えるというパターンが一般的であった。ところが東北新幹線開通後は盛岡よりL特急「たざわ」に乗り換えるというパターンに変わってしまい、実質、角館入りのパターンが逆転してしまった。そして田沢湖に関しても、新幹線開通後は特急停車駅になりその名を全国に知らしめた事であろう。田沢湖線にとって新幹線の開通は実に大きい恩恵をもたらしてくれたのだ。
そんな田沢湖線に運転されたL特急「たざわ」に乗車したのは、私が散々紹介している1983年の東北の旅での事であった。同じ行程の中で私は2回乗車している。1回目は盛岡発19時31分の時間帯のため当然景色など見れない。2回目は同じく盛岡発12時31分のタイミングで、しっかりと田沢湖線を堪能できる時間帯であった。
この「31分」という発車時間がポイントで、大宮からやってきた新幹線は盛岡に確か毎時15分頃に到着していた。そして青森方面への特急「はつかり」等と一緒に「31分」という出発時間により新幹線との接続を完全に計算されたダイヤになっていた。

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(そしてこちらが2回目のコンタクト。新幹線開業とともに在来線ホームもリニューアルされ真新しい盛岡駅は、東北の拠点にふさわしい佇まいであった。もちろん現在もその風格は変わらない。)

盛岡から乗った自由席はハッキリ言って超閑散としていた。私はもっと孤独感を味わいたいと車両の一番テールに向かった。そして・・・誰もいない。田沢湖線の車窓を独占するとともにL特急「たざわ」の一番後ろの車両も独占させていただいた。なんとも贅沢・・・私はすかさず窓に向かいシャッターを切っていた。
さて・・・この事はこの場で記していいかどうかわからないが・・・私は一番後ろの車両の一番後ろの座席に座っていた。すると乗務員室から白い服を着た車掌が出てきて座席に座った。そして・・・なんとタバコを吸い始めたではないか!実は私の座っている車両は「禁煙車」なのだが・・・ローカルならではの風景、と良い言い方をしておくが、現在ではまず考えられない光景であった。当時の国鉄を象徴する光景か・・・とあえて大袈裟には言いたくないが、当時中学生であった私には少々衝撃的な出来事であった。

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(そして2014年に訪問した秋田駅に停車中の「こまち」。私自身、この時点で秋田駅への訪問は1983年以来になった。久々の秋田駅の風景は、なんというか全く別の駅に感じたのはやはりこの「赤い車両」の存在が実に大きいためであろう。)

そんな鉄道少年を乗せたL特急「たざわ」は「みちのくの小京都」の存在など全く関係なくスルー、一気に秋田まで抜けていった・・・
現在、その役割は「新幹線」にバトンタッチされている。基本的に新幹線を単純に秋田までのアクセスとするならば北上より北上線経由で横手を抜けて秋田に至るルートを考えると距離的には最短になるかも知れない。しかし集客効果を考えればやはり盛岡より田沢湖線経由の方が有利であろう。私の場合、電化前の田沢湖線も知っているが、なんというか地味であまり目立たない路線であった。しかし電化され特急が運転されるようになってからは一気に脚光を浴びた印象だ。そして更に現在では新幹線が運転されるまでに飛躍している・・・国鉄時代に私が体験した「たざわ」での出来事は別として、現在はこうして田沢湖線の活用方法が成功した事例として実に微笑ましいと思うのは私だけであろうか?L特急「たざわ」は、というより田沢湖線はまるで「出世魚」のように我が子の成長を見てきた・・・そんな存在であった。



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こんにちは。
田沢湖線も新幹線との直通運転になり大きく変わった路線ですね。東北各県は、すべてが新幹線でつながれたことになり、いよいよ北海道までつながることになります。
昨年初めてこまちに乗りましたが、険しい山の中の単線を、最新の列車が走る様子は、不思議な感覚でした。
L特急が走っていた時代を思い返す人は少ないかもしれませんが、この路線の歴史として大切にしておきたい記憶ですね。
貴重なお写真、楽しませて頂きました。
今後とも、宜しくお願い致します。
風旅記: http://kazetabiki.blog41.fc2.com/?pc

風旅記様

コメントありがとうございます。

L特急「たざわ」は、確か上越新幹線が開通した1982年11月15日よりう運転開始となったはずですが、田沢湖線に電車が走るということで実に新鮮、斬新な印象でした。私は翌年の8月に現地に訪問するタイミングとなりましたが、特に盛岡駅は大変に重要なポジションになり、駅もリニューアルされて初々しさがまだまだ残る雰囲気でした。

「L特急が走っていた時代を思い返す人は少ないかもしれませんが」とのお言葉通り、現在では素敵な新幹線車両が秋田駅に出現しますね。記事にもあるように、私が2014年に秋田駅に訪問した時点で実に1983年以来ですから実に約30年ぶりに秋田駅のホームに足跡をつけた事になります。30年・・・実に大きな、そして偉大で素敵な時間ですね。時代の変化とともに「出世」していく田沢湖線は実に微笑ましい存在です。
プロフィール

ダイヤモンド☆トナカイ

Author:ダイヤモンド☆トナカイ
所在地:神奈川県湘南地区

〇2013年6月11日、北陸新幹線長野駅にてJR全線制覇いたしました(当時)。
国内の鉄道は、沖縄の「ゆいレール」を残し全線制覇しました。(とは言うものの、2015年3月の北陸新幹線延伸によりJR全線制覇は「ベルト返上」しました)

★ ブログ記事の「リメイク版」は、以前にホームページで紹介した旅日記をブログでリメイクしたものです。


◎ブログの登場人物

★ ダイナミック☆トナカイ
・・・中学時代の後輩で、2013年に約30年振りに再会を果たした。数多くの写真を提供していただいた「盟友」でもある。

★ おさる・・・かつて私がバンド活動をしていた時のメンバーで、鉄道復活のきっかけを作ってくれた人物。彼とは「秘境駅」を数回訪問した「親友」でもある。

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