飯田線・秘境駅訪問記②
2012-12-21

(小和田駅の駅舎はデビュー当時と変わらないであろう。鉄道以外でこの地に訪問するには徒歩しかない。この小和田の駅前には「バスターミナル」や「ロータリー」等はもちろん、車道すらない。)
水窪で車掌としばらく談。20分以上遅れるというので若干予定を変更する。田本・小和田の順番で訪問する予定だったが、順番を入れ替えた。ただそれだけだが、結果的にはその判断が良かったのか、最終的に予定通りになろうとは・・・
まず、変更した小和田へ向かう。本当に山の中を走り抜け、秘境モードが濃くなるのは、やはり飯田線ファンが多いのは肯ける。私も久々の「鉄分補給」のため気持ちが昂る中、ようやく最初の「小和田」に到着。車掌も慣れたもので、姿・身なりから「その道の人」と判断。特にこの駅に降りる我々に対して偏見を持つわけでもなく、いつものように対応された。

(私の訪問時は交換設備があった小和田駅。駅の周りは完全に自然と一体化している。と言うより駅のみが「異空間」的な存在だ。)
列車が去った後は急に駅全体の空間がが自然の一部と変化し、天竜川のせせらぎのみが唯一の「音声」と化していた。鉄道設備以外は地球上でよく見かける「自然」という名の物体のみに囲まれ、人工的な物はほぼ皆無に等しい。片方は山、片方は川に挟まれながら交換設備を持つ対向式ホームの2面2線。現在は棒線化されたが、当時は数メートルの引き込み線みたいなのもあった。「これが秘境駅か・・・」相方は写真撮影に夢中になり、気が付いたら2時間があっという間に経っていた。駅舎の中にはこの駅で結婚式を挙げたカップルの様子を大々的にアピールしているが、駅から坂を若干下るとそれに関連するベンチのようなものも登場した。「縁結びの神社」化した駅は現在、本来の「役割」を果たしているとは思えない。しかしながら、豊橋方面のホームに向かう「乗客」が現れたのだ!相方が興味津々でその人に取材している。私はお構いなしにと、さらに駅舎などの設備に向けシャッターを切っていた。約3時間の滞在もあっという間であったが、すでに乱れたダイヤが復旧していた。小和田と戯れている間にダイヤが平常に戻っていたのだ。

(続いて、断崖絶壁にある田本駅。もちろん駅員無配置であるが、当日は「保線屋」が訪問しておりいささか独占できなかったが、こちらも秘境度満点である。)
次に向かったのは田本である。周知の通り、断崖絶壁と天竜川に挟まれた由緒正しい秘境駅だ。棒線で当然であろう必要最低限のスペース。崖には、今にも落ちてきそうな岩がコンクリで固められており、ホームには簡素な待合室と、なぜか点字ブロックがある。田本駅付近を散策すると、本に書いてあったように、駅に繋がる車道は無い。というより道と呼べるかわからない「林道」のような獣道だ。途中、マムシでも出そうな危険な道に、果たして点字ブロックが必要な人が下車できるのか・・・素朴な疑問が出てくる。この駅も小和田同様、列車の去った後は「自然」の一部になっていた。駅の設備を撮影する以外、やることがない。小さな待合室に入ってみると、真夏の日差しを避けるのにちょうどいいが、もちろん空調設備は無く、人間以外の生き物も日差しを避けようとしている。中には図鑑に載っていないような昆虫まで・・・人間は、鉄道か徒歩でしか訪問することができない。いや、「船」という方法もあるが、所謂「許可」みたいな物を必要とするのであろうか・・・
アルコールが進む中、列車を「走る空調室」として使うため、予定に無い「為栗」を訪問することにした。こちらも秘境度は負けていないが、駅付近に民家を発見。若干飯田線の需要を支えているものと推測されるが、目の前が天竜川のダイナミックなロケーション。合計3駅訪問して、すっかり「訪問家気分」になってしまった。

これだけの大自然の中を走る飯田線に、多くのファンがいるのはとても素晴らしいが、私は全く季節感が無いため「紅葉の時期」「雪景色」など意識せずにいつも旅に出ていた。しかし、最近は年齢を重ねたせいか、そういう「季節感」みたいのも若干意識するようにもなった。私たち御一行は更に飯田線を全線制覇するべく辰野に向かったが、久々の「大垣夜行」にいささか睡魔が襲う。前半は興奮しっ放しであったが、目的を達成した後の飯田線は、気付いたら夢の中で「制覇」していたようだ。

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