2013年、北陸大人旅④
2019-08-15
JR側の武生から「武生新」へ向かうが、まだ「越前武生」に馴染めない私がいた。いつから駅名が変わったのであろう。計画を立てている段階から「越前武生」と改名したのは知っていたが、いざ訪問するとなるとなんだか戸惑ってしまう。初めて訪れる土地なのになんだか複雑だ。

JR武生から少し歩くと「武生新」こと越前武生がある。何となく昭和チックな駅前風景が時代を物語る。
越前武生の改札を抜けると思いもよらぬ列車が私を待っていた。昭和35年製のあの列車だ!岐阜にいたかつての名鉄の車も顔を揃えて並んでいる。西の鉄道に疎い私でも一発でわかったほど岐阜の路面電車に馴染んでいる列車であった。おう、こんなところにいたか。初めて生で見る車なのになぜか懐かしい。1984年以来23年のブランクがあった私のレールファン歴は、私が想像していた以上に私自身が浦島太郎になっていたようだ。逆に何もかもが新鮮であるのだから面白い。そんな中にも福井鉄道のように「201」のような車両が待っているのだから、本当に旅とは何が起こるか分からない。いや、私が予備知識なさすぎなのか・・・
さて「201」は周知の通り古すぎて貴重な車両となっているが、低床化が進められている福井鉄道にとっても高床車か盛んであった昭和を感じ取れる貴重な車両ともなっている。しかも江ノ電のように高床車両が併用軌道を走るという、これもまた貴重な「今しか出会えない鉄道風景」となっている。

そしてホームへ入る。もちろん私の乗車する車両は左側だ。既に現在では引退されていると聞いている車両なので最後に貴重な体験をした事になる。
周知の通り福井鉄道は軌道区間と鉄道区間の駅ホームの高さが違っていたため、鉄道車両が軌道区間の駅に入る際に対する乗客の乗降時の不便さを解消するため列車のドアが開くと階段状のステップが自動で出てくる仕組みになっている。また、先述した名鉄車両の搬入に伴い、鉄道線の駅も全て低床車に対応したホームの高さに改良された。そのため始発の越前武生でも鉄道車両がステップを下げている姿か見れるのは嬉しい。ただ、現状だと障害者的な立場の方にはやや不利になってしまうので今後の対策が大きな課題であろう。いずれにしても鉄道車両は近い将来になくなり、ノンステップ式の低床車に置き換えられるのが現実的なのかもしれない。

とは言え、右側にはかつての名鉄的車両が活躍する。時代の波とともに福井鉄道も低床化が進められている。
さて「福井」に来て「岐阜」に乗ることは出来なかったが、多くの駅で何度か「岐阜」とすれ違いを見せた。レールファン的にはいい風景であるが、利用者的には昭和35年式の車両はどう感じるのであろうか。しかも福井駅付近では軌道線になるため道路に鉄道線の車両が入るとやたら巨大に感じる。まるでかつてのジャイアント馬場のように、実に巨大に見える。私の地元である神奈川県にも江ノ電が江ノ島~腰越間が軌道区間であるが、やはりいつ見てもその巨大さに変化はない。むしろダイナミックに思えてくる。しかも福井方では軌道区間が複線のため尚更だ。
そんな懐かしいご対面があった福井鉄道に「昭和」の私はある意味喜びを感じていた。だが、私はどちらかというと国鉄派だったので私鉄とはあまり縁が無かった。だが、今だからこそこうした地方の私鉄路線の素晴らしさに気付かされる。もちろん、私が若かった頃、私鉄に全く触れなかった訳でもないし興味が無かった訳でもない。単純に触れる回数が少なかっただけなのだ。当然ながら雑誌や図鑑、そしてコロタン文庫等でその勇姿を確認していた。だが、現地に訪問したり乗車できたのは極めて近年のレールファン復活後であるし、意識的に訪問したのは地元の私鉄路線を除けば鹿児島交通くらいであろう。本当はもっと私鉄路線に沢山訪問してみたかった。別府鉄道に丹後鉄道、そして南部縦貫鉄道やもっというと1円電車や下津井電鉄等・・・数え上げたらキリがない。だが、私が1970年代~1980年代に全国の鉄道路線を駆けずり回っていた頃は「いい旅チャレンジ20000km」が大ブームになっており、そちらの方が最優先であった。しかも学生のため行ったついでに私鉄に乗るという感覚や概念もなく経済的余裕も無かった。

低床化の理由のひとつに福井駅寄りの併用軌道にあると言えるであろう。私の地元に走る江ノ電も一部区間に併用軌道があるが、やはりあの江ノ電車両が道路を走っているのは今でも違和感を感じる。
今、こうしてかつての果たせずにいた夢をひとつひとつ実現させている。もちろん昭和の時に訪問していたらもっともっと違う風景が見れたであろう。だが今だからこそ経験出来る事もある。そんな思いをひとつひとつ噛み締めながら終点の田原町に向かった。

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